研究実績の概要 |
本研究では、FABP1とFABP3をターゲットとして、FABPsの内分泌因子としての働きを解明し、生活習慣病の病態形成に果たす役割を明らかにすることを目的とする。令和5年度までの研究により、研究に必要なFABP1、3タンパク質の大腸菌発現系の構築と大量調製、及び培養細胞系を用いたFABPsの細胞外生理作用の検討を実施した。脂肪細胞のモデルである3T3-L1細胞、褐色脂肪細胞のモデルであるC3H10T1/2細胞、筋肉細胞のモデルであるC2C12細胞を用いて添加実験を実施したところ①FABP1が未分化な細胞に対する細胞増殖抑制作用を示すこと、②分化したC2C12細胞のインスリン感受性を増強することが明らかになった。令和5年度は、内分泌因子としてのFABPsの影響を検討するために動物実験を中心とした検討を行った。様々な条件下における血中FABP1,3量を検討したところ、肥満により血中FABP1は上昇し、FABP3は減少することが示された。そこで、食事誘導性肥満マウスを作製し、FABP1、3タンパク質の投与実験を実施した。FAPBsの投与は、体重、組織重量(脂肪、肝臓、筋肉)、血中脂質量に影響を与えなかった。しかし、グルコース負荷試験の結果より、FABP3の投与は耐糖能を低下させる可能性が示された。
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