研究課題/領域番号 |
21K11667
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小川 晋 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (20323016)
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研究分担者 |
本橋 ほづみ 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (00282351)
西山 成 香川大学, 医学部, 教授 (10325334)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / Nrf2 / 腎糖新生 / 乳酸 / グルタミン / phosphoenolpyruvic acid / G-6-P |
研究実績の概要 |
①正常群(N)では血糖の腎動静脈比(V/A)は約0.95であったが糖尿病状態(STZ rat)では約1.00倍に上昇していた。STZ + tempol(T: 酸化ストレス抑制群)群、STZ + バルドキソロン・メチル(BM: Nrf2 activator)群ではV/A比は約0.95 に抑制されSTZ + ハロフギノン(H: Nrf2 inhibitor)では約1.00に上昇していた。 ②乳酸のV/A比はSTZ群で抑制されておりSTZ + T群, STZ + BM群ではN群と同レベルに回復していた。STZ + H群ではN群よりやや上昇傾向であった。 ③腎臓内乳酸濃度はN群 < STZ + BM群 < STZ + T 群= STZ群 < STZ + H群であった。 ④腎臓内グルタミン濃度はN群= STZ + T群= STZ + BM群 > STZ群 > STZ + H群、 ⑤腎臓内phosphoenolpyruvic acid濃度はN群 = STZ + H群 > STZ + T群= STZ + BM群 = STZ群 ⑥腎臓内G-6-P濃度はSTZ + T群 > STZ群 > N群 = STZ + H群 >> STZ + BM群、であった。これらのことから腎臓では高血糖状態で腎糖新生が増大しており、その増大では酸化ストレス増大が関与している、がNrf2は酸化ストレス抑制に加えて別のメカニズムで腎糖新生を抑制している可能性が示唆された。酸化ストレスはG-6-Pからglucoseの変換を促進しているが、Nrf2はphosphopyruvic acidより乳酸への合成を促進することで糖新生を抑制しているように思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ必要な実験は終了しており、さらにNrf2により活性化される抗酸化ストレス遺伝子であるNQO1の発現や糖新生の律速酵素であるPEPCKの発現も測定が終了しており、解析結果を考察する段階にまで進捗している。いくつか補足的な測定が残っているのみである。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果をまとめデータの整理を行う。それらの結果を考察する。 結果が期待されたものであれば学会発表や論文作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度は、令和3年度の動物実験の結果を踏まえ、モデル動物だけでなくヒューマンにおいても同様の結果が期待できるか検討するため、当初の予定を一部変更してヒューマンの血液・尿を用いて関連物質の測定を行った。そのため当初予定した予算を完全に使い切ることができず9750円余ったため、翌年度への繰越金とした。 翌年度はあらかじめ請求した助成金とこの繰越金を合わせたものを「これまでの結果をまとめてデータを整理し、それらの結果を考察する。」ことに加えて、「結果が期待されたものであれば学会発表や論文作成を行う」ために使用する。また来年度に再度確認が必要な測定項目があり、その項目の測定のためにも使用する。
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