研究課題
歯周病原細菌由来のリポ多糖(LPS)はNASHの発症進展を加速させる.Nrf2はLPSに対する貪食機能を果たすと推測される.本研究はKupffer細胞を含むmacrophageのみにNrf2を発現するmacrophage特異的Nrf2遺伝子レスキューマウス(Nrf2-mRes)を作製し,高脂肪食摂餌(HFD)とLPS投与によるNASHモデルにおける肝病変を観察した.肝病理組織では,WTは有意な変化を認めなかった.HFD + LPS群の比較では,Nrf2-KOはWTと比べ肝炎症および線維化が有意に高度であったが,Nrf2-mResでは改善していた.Nrf2-mResでは肝炎症と線維化の進行が抑止された.Kupffer細胞を含むmacrophageのNrf2は,当該NASHモデルの肝炎症と線維化の進行を抑止した.歯周病原細菌由来LPSが誘導するNASHの進展において,macrophage Nrf2は重要なNASH防御因子と考えられた.抗酸化レドックス粒子 (RNPO) はLPSによる肝障害を軽減し,また,RNPOは活性酸素種を選択的に消去し抗酸化作用を発揮して,NASHを抑止することが判明している.現在,macrophageの貪食機能が減衰した全身Nrf2遺伝子欠損マウスに高脂肪食摂餌と歯周病菌LPS投与をおこない,Nrf2の発現低下(脆弱化)により生体の抗酸化作用が低下した個体において,慢性肝疾患における肝病態の増悪(肝炎症・線維化)の進展を抑止する生体材料であるRNPO がNASHの発症進展に対する抑止効果を発揮することが可能であるかを検証中である.
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