研究実績の概要 |
2022年度は、地域公民館において、同意が得られた65歳以上の高齢者に対して、自宅で実践可能なサルコペニア嚥下機能低下予防プログラムを提案した。栄養、身体活動および嚥下筋維持訓練のプログラム内容の説明を行い、作成したDVDを配布して自宅での実践を促した。ベースライン調査と6か月後調査の2回ともに参加した高齢女性21名を対象として、MNA-SFスコア、握力、下腿周囲長、最大舌圧を比較した。栄養状態はMNA-SFを用い、握力はデジタル握力計T.K.K.5401GRIP-D(竹井機器工業株式会社)により測定した。下腿周囲長は座位においてメジャーで測定した。舌圧はJMS舌圧測定器(ジェイ・エム・エス)を用いて最大舌圧を評価した。 今回の調査で得られた結果は下記のとおりである。 平均年齢は77.6±5.6歳であり、ベースライン調査における中央値(25,75パーセンタイル)はそれぞれMNA-SFスコア 13.0点(12.0, 13.0)、握力 22.6kg(21.2, 24.3)、下腿周囲長 32.7cm(31.0, 34.9)、最大舌圧31.1kPa (27.2, 37.4)であった。6か月後は、MNA-SFスコア 13.0点(12.0, 13.0)、握力 21.8kg(20.1, 24.3)、下腿周囲長 33.0cm (31.0, 34.5)、最大舌圧31.5kPa (28.3, 35.8)であり、いずれも有意な低下は認められなかった。ベースラインにおいて最大舌圧が30kPa未満であった8名においては、ベースライン時の最大舌圧26.6kPa (24.3, 28.4)から6か月後には29.7kPa (27.6, 32.8)と改善が認められた。今後、サルコペニア性嚥下機能低下が危惧される地域高齢者に対する介入を進めていく。
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