研究実績の概要 |
2023年度は地域においてサルコペニア性の摂食嚥下障害予防プログラムを実践し、評価することを目的とした。地域の公民館活動に参加している同意が得られた65歳以上の高齢者に対して、栄養管理、身体活動、嚥下筋トレーニングの内容を中心とした小冊子を作成し、サルコペニアの摂食嚥下障害予防実践指導を行った。ベースライン調査と6か月後および1年後の3回ともに参加した高齢女性15名におけるMNA-SFスコア、握力、下腿周囲長、最大舌圧を評価した。今回の調査で得らえた結果は下記のとおりである。 ベースライン調査における中央値(25,75パーセンタイル)はそれぞれMNA-SFスコア 13.0点(12.0, 13.8)、握力 23.0kg(21.5, 24.6)、下腿周囲長 33.2cm(31.4, 35.0)、最大舌圧31.8kPa (28.5, 37.8)であった。6か月後、1年後の中央値はそれぞれMNA-SFスコア:13.0点, 13.0点、握力:23.0kg, 23.4kg、下腿周囲長:33.2cm, 33.6 cm、最大舌圧:32.1kPa, 32.9 kPaであった。それぞれ 6か月後、1年後における有意な低下傾向は認められなかった(p=0.944, p=0.757, p=0.724, p=0.397)。 新型コロナウイルス感染対策下において、サルコペニア性の摂食嚥下障害予防を目的とした実践プログラムの効果が確認できた。プログラムを経年的に実施することによりサルコペニア性の嚥下機能低下を予防できる可能性がある。今後は地域において高齢者が継続できる仕組みづくりを進めていく。
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