研究課題/領域番号 |
21K11688
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
安井 正佐也 常葉大学, 健康プロデュース学部, 准教授 (10723695)
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研究分担者 |
桐生 寿美子 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (70311529)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ストレス / ミクログリア / ATF3 / 固有感覚神経 / 反射弓 / 疼痛 / DRGニューロン / 筋緊張 |
研究実績の概要 |
本研究では,傷害した神経細胞特異的にミトコンドリアがGFP蛍光標識されるトランスジェニック(Atf3:BAC Tg)マウスに対して,7日間の繰返し寒冷ストレス(RCS)を負荷して解析を行った.その結果,RCSマウスには,17日間という長期間にわたる機械性痛覚過敏が生じており,オープンフィールドテストにおいて有意な行動量の低下を示した.このマウスの脊髄後角内側から前角背側にかけてミクログリアの活性化および集積を認めた.さらに,ミクログリアが活性化した領域の一部の脊髄運動ニューロンとDRGニューロンにATF3の発現を認めたことから,脊髄運動ニューロンおよびDRGニューロンの過活動が生じていることが示唆された.Atf3:BAC Tgマウスを用いてRCS負荷した際の過活動神経回路であるGFP発現ニューロンを観察したところ,脊髄では反射弓である後角内側から前角背側の固有感覚神経線維および前角運動ニューロンに,DRGでは固有感覚ニューロンにGFP発現を認めた.さらに,GFP標識された神経線維を末梢組織まで追いかけたところ,足底筋の筋紡錘と神経筋接合部にも観察された.さらに,脊髄反射弓に沿ってミクログリアが有意に増加していた.最後に,ミクログリアの発達や長期生存に不可欠なCSF-1 receptor を阻害する薬剤(PLX3397)を投与することで、あらかじめミクログリアを減少・消失させた際のRCS負荷による変化を観察した.その結果,有意に疼痛行動の抑制を認めた.以上の結果より,持続的な強いストレスは過剰な筋緊張を引き起こし,固有感覚神経の過活動および反射弓を介して脊髄運動ニューロンの過活動を生じさせた.その結果,脊髄反射弓に沿ってミクログリアが活性化して中枢性感作(機械製痛覚過敏)を生じさせていることが示唆された.
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