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2021 年度 実績報告書

新規タンパク質翻訳後修飾リジンピロール化を基軸にした健康破綻機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K11694
研究機関名古屋大学

研究代表者

吉武 淳  名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任助教 (70414349)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2022-03-31
キーワード非酵素的翻訳後修飾 / アスコルビン酸 / タンパク質ピロール化
研究実績の概要

タンパク質のリジン残基にピロール環を形成するタンパク質ピロール化は、不飽和脂肪酸(PUFA)の過酸化物に由来する非酵素的な翻訳後修飾として報告され、内因性のピロール化因子としてグリコールアルデヒドが同定された。また、グリコールアルデヒドの酸化体であるグリオキサールがピロール化を促進することが見出されたことから、酸化ストレスとの関連が示唆される。加えてピロール化タンパク質はDNA染色剤との結合能を有するなど、DNA様の性質を獲得することが報告されている。実際に自己免疫疾患モデルマウス血清に対して抗原性を示すことから自己免疫疾患との関連が示唆され、健康維持の視点からも重要な翻訳後修飾であることが予測される。
今回私は脂質過酸化反応を介さなくても、タンパク質の鉄・アスコルビン酸処理によってピロール化リジンが形成されることを見出した。この矛盾を解明するためにアスコルビン酸と鉄イオンをインキュベートしたところ、グリコールアルデヒドとその酸化体であるグリオキサールの形成を確認した。また、鉄キレート剤であるDTPAの添加によるグリオキサール形成の抑制と、グリコールアルデヒドの鉄処理によるグリオキサールの形成を確認した。これらの結果から、鉄触媒を介したアスコルビン酸の自己酸化に由来するグリコールアルデヒドの形成と、それに続くグリオキサールの形成によってピロール化が惹起されることが示された。
これらの結果から、リジンピロール化は脂質過酸化やアスコルビン酸などの還元糖の自己酸化など、グリコールアルデヒド形成に繋がる様々な経路が関与する可能性が示唆されることから、タンパク質ピロール化は生体内で普段から惹起される翻訳後修飾である可能性が示された。短鎖アルデヒド由来の付加体の報告は少なく、老化や疾患形成における短鎖特にC2、C3アルデヒド由来の付加体の生理学的役割の解明が今後重要になると考える。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] アスコルビン酸酸化に起因するタンパク質ピロール化2022

    • 著者名/発表者名
      吉武淳、柴田貴広、近澤未歩、内田浩二
    • 学会等名
      日本農芸化学会

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公開日: 2022-12-28  

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