研究実績の概要 |
(背景)欧米や西アジアの小児期発症の高度肥満で何らかの肥満原性遺伝子の病的バリアントをもつ症例の検出率は 5-49%と報告があり、世界の中でも地域差がある。視床下部摂食抑制シグナルを構成するレプチン・メラノコルチン系の遺伝子に着目して、日本人小児期発症肥満についてゲノムを解析した。 (方法)京都府立医科大学附属病院に通院中の小児肥満、あるいはその経験者 である16 歳以上の成人、14 例を対象とした。研究参加について本人あるいは保護者から書面にて説明同意を得た。末梢血 DNA を取得し、これをテンプレートDNAとした。次世代シーケンサー・エクソーム解析には、世代シーケンサはNovaSeq6000 あるいはNextSeq500 プラットホーム(Illumina, SanDiego, 米国)を使用した。対象とした遺伝子はLEP, LEPR, POMC, PCSK1, MC3R, MC4R, MRAP2, BDNF,SIM1, NTRK2 とした。 pathogenic/likely pathogenic variant をデータベースで検索した。病的意義不明のバリアントで MAF <0.1%(gnomAD)かつ CADD スコア 20 以上を報告すべきVUS (Variant of uncertain significance) とした。 (結果)ACMGのスコアリングで評価される pathogenic/likely pathogenic variant はなかった。 VUS はSIM1 で 2 バリアント、NTRK2 で 1 バリアントを検出した。バリアントのアレル検出率は 10.7%であった。ホモ接合性 0 例、複合ヘテロ接合性 0 例、ヘテロ接合性 3 例で、症例の検出率は 21.4%であった。 (結論)本邦でもレプチン・メラノコルチン系遺伝子のバリアントをもつ小児肥満症例は稀ではない可能性がある。
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