研究課題
マインドフルネスと失体感症が肥満の原因になる心理学的な摂食行動(情動的摂食、外発的摂食、抑制的摂食)にどのような関連をしているかについて明らかにすることを目的とし、大学生(N=106、BMI=19.39±5.61)に対し、質問紙調査を実施し、そのデータを共分散構造分析を用いて解析し、肥満症治療学会にてポスター発表を行った。質問紙は、失体感症尺度、DEBQ(摂食行動)、MAAS(マインドフルネス)、BMI、年齢、性別を問うフェイスシートで構成した。その結果、以下のようなことが示された。1)マインドフルネスは摂食行動、失体感症傾向のすべてを緩和する効果を持つ。2)失体感症傾向は、わずかに情動的摂食を低めるが、外発的摂食を高める。今回の調査対象が健常な大学生であり、痩身であるものが多かったこと、ストレスにより拒食傾向になるものも一定数いることによってこの結果になった可能性も考えられる。肥満症者を対象にした質問紙調査が望まれる。3)抑制的摂食は情動的摂食を高める強い効果を持ち、高められた情動的摂食は、外発的摂食を高めるという摂食行動の負の連鎖が起こる。その一方、マインドフルネスは抑制的摂食を軽減することで、有意に情動的摂食を低める。これは、MB-EATのトレーニングの中で、食事を無理に制限せず、適量をしっかりと味わうことで満足して食行動を終えられるように指導していくことの後ろ盾になるといえよう。
3: やや遅れている
マインドフルネスが、失体感症、摂食行動の緩和に影響を及ぼしていることを質問紙調査によって明らかにした。現在は、肥満症者から得た、食べ物のことが頭から離れなくなる場面に関する自由記述データを基に、Hunger Rumination尺度の草案を作り、食行動に関する質問紙、マインドフルネスに関する質問紙、ネガティブな思考反芻傾向の質問紙とともに、大学生に対して調査を行った。しかし、データの集計解析を実施できていない状況である。今後、データを解析し、尺度を作成し、Hunger Ruminationが食行動に及ぼす影響について検討していく。
Hunger Rumination尺度の作成を急ぐ。その尺度を基に、肥満を促す要因、予防または解消する心理的要因について検討を行っていく。また、MB-EATの一つ一つの技法を取り出し、その効果を実証する実験研究を実施していきたい。
昨年度、コロナ禍のために学会がオンラインで行われ旅費がほとんど生じなかったことが理由である。今年度は、肥満に関するWebでのアンケート調査を企業に委託して実施したい。
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福岡県立大学心理臨床研究
巻: 14 ページ: 3-11
Int J Med Sci
巻: 18 ページ: 1566-1569.
10.7150/ijms.53907