研究課題/領域番号 |
21K11708
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
高木 泰介 杏林大学, 医学部, 医員 (60868991)
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研究分担者 |
阿部 展次 杏林大学, 医学部, 教授 (40266747)
大崎 敬子 杏林大学, 医学部, 教授 (90255406)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 胃癌 / 胃切除 / Leuconostoc / 腸内細菌 / 短鎖脂肪酸 / dysbisis / プロバイオティクス / 体重減少 |
研究実績の概要 |
胃癌術後合併症として頻度の高い体重減少のメカニズム解明と、新規プロバイオティクス投与による介入を行い、体重減少の改善を目指したプロバイオティクスの探求である。新規プロバイオティクス候補の細菌として、Leuconostoc属細菌の2菌株に着目した。これらの菌株はお粥の中で増殖可能な細菌であり、お粥を原料とした全く新しいプロバイオティクスの開発が展望された。 Leuconostoc属の2菌株(Leuconostoc mesenteroides MS061, Leuconostoc suionicum MS009)の特性評価では、MS009株とMS061株は重湯や豆乳で他のプロバイオティクス製剤と同等の増殖能を示したが、耐酸性は低かった。MS009株は他の候補細菌と比較してIn vitroでのINT-407細胞との付着性が良好だった。 ラットへの投与実験では、MS009株投与により腸内細菌叢のα多様性の上昇とβ多様性の変化が観察され、宿主に有益と考えられる細菌が複数増加しており、腸内細菌叢が変化した。さらに、MS009株投与によりラット盲腸内容物の酪酸濃度と腸内IgA抗体濃度の上昇が認められた。 MS009株は重湯での増殖性が高く、INT-407細胞との付着性も高く、宿主により強い相互作用を発揮する可能性があり、全く新しいプロバイオティクスとして利用が展望された。また、MS009株は腸内細菌叢の多様性増加、酪酸産生の増加作用、IgA抗体産生増加を通じて、宿主にとって有益な効果を示す可能性が示唆された。お粥という新しい形態でのプロバイオティクス利用は胃切除後の術後食としてdysbiosis改善効果が期待されるだけでなく、お粥を食すべき病態にある多くの患者や高齢者への効率的な栄養介入にもなり得る可能性が展望された。
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