研究課題/領域番号 |
21K11709
|
研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
廣田 佳久 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (70724277)
|
研究分担者 |
須原 義智 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (30297171)
郡山 恵樹 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (70397199)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ビタミンK / 脳血管障害 / 中枢神経再生 / 神経損傷マウスモデル / 誘導体合成 |
研究実績の概要 |
ビタミンKが脳内でどのような役割を担っているかは未だ明らかではない。申請者は、これまでに脳内に存在するビタミンKが神経幹細胞をニューロンへ選択的に分化誘導することを報告し、トランスクリプトーム解析から脳に存在する48,441種の遺伝子から、3,780種の遺伝子がビタミンKにより変動し、ニューロン分化に関与する可能性が高い3種の重要な遺伝子を見出した。そこで本研究では脳内におけるビタミンKの役割を明らかにするため、「神経幹細胞からニューロンへの分化を誘導するビタミンKの分子機構の解明」を行った。 2021年度はビタミンKと結合する可能性のある2つの受容体が、神経細胞の分化に関与するかを検討した。各種阻害剤等を用いた検討から、2つの受容体を介してビタミンKが神経幹細胞をニューロンへ分化誘導することが見出された。2022年度内に論文投稿を行う予定。 本研究が完成した暁には、食事由来のビタミンKが、脳血管障害等により損傷を受けた脳神経細胞の再生を促し、脳梗塞モデルマウスの神経再生を強く促進する新規ビタミンK誘導体の創製することで、脳内ビタミンKの役割の一端が明らかになり脳血管障害の治療に繋がることが期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、各種阻害剤等を用いた検討から、2つの受容体を介してビタミンKが神経幹細胞をニューロンへ分化誘導することが見出された。2022年度内に論文投稿ができる状況になったため。また、本内容に関して国内外の学会で報告し、奨励賞をいただくことができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、ビタミンKによる核内因子(クロマチン制御因子)を介したニューロン分化機構を評価する。また、ビタミンKは受容体を介したシグナル伝達から核内因子を経てニューロン分化を促進するかを評価することで、ニューロン分化機構の全容解明を試みる。本年度見いだされた2つの受容体を標的とした新規ビタミンK誘導体の創製を行い、これまでのよりも分化を強く促進する誘導体の探索を行う。 また、ビタミンKは神経分化誘導作用以外に、損傷神経の治療作用を見出している。先に合成した新規ビタミンK誘導体による中枢神経再生・修復効果の評価を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
残額は3,360円であり、当初予算はほぼ使用している。残額に関しては次年度の研究をより推進するために使用する。
|