研究課題
ビタミンKが脳内でどのような役割を担っているかは未だ明らかではない。我々は、これまでに脳内に存在するビタミンKが脳神経幹細胞をニューロンへ選択的に分化誘導することを報告し、網羅的な遺伝子解析からニューロン分化に関与する3つの重要な遺伝子を見出した。また、ビタミンKが損傷した神経細胞を修復できる可能性も示唆している。そこで本研究では脳内におけるビタミンKの役割を明らかにするため、この3つの遺伝子に着目して「①神経幹細胞からニューロンへの分化を誘導するビタミンKの分子機構の解明」を行い、「②ビタミンKによる脳梗塞などの脳血管障害に対する治療法への応用」を目指した。その結果、2つの受容体がビタミンKを介して、ニューロンへの分化誘導を行うことが分かった。また、1つの核内因子がヒストンアセチル化を介して神経分化に寄与することが分かった。本研究成果は、国際誌への論文投稿し査読を受けている。また、本研究を実施する上で、ビタミンKが細胞死の1つであるフェロトーシスを抑制することが報告された。近年の研究から、アルツハイマー病などの脳変性疾患にフェロトーシスが関与することが報告されている。このようなことから、食事から摂取されるビタミンKは、脳血管障害により損傷を受けた「脳神経細胞の再生」を促すと共に、神経再生を強く促進する新規ビタミンK誘導体の創製、フェロトーシスの抑制により、脳変性疾患の治療に繋がることが期待される。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 5件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (31件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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