研究課題/領域番号 |
21K11710
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
高橋 良哉 東邦大学, 薬学部, 教授 (40197190)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 老化 / 異常タンパク質 / プロテアソーム / タンパク質分解 |
研究実績の概要 |
加齢に伴うタンパク質品質管理システムの異常は、異常タンパク質の細胞内蓄積を加速させ、多くの細胞機能を急速に悪化させると考えられる。本研究はタンパク質品質管理システムのひとつであるプロテアソーム自身の加齢に伴う異常の原因を明らかにすることを目的としている。本年度は、研究実施計画の(研究1)に関しては、加齢に伴うC2サブユニットの変化を中心に解析を進めた。具体的には、研究を効率よく進めるにあたり等電点の異なるC2サブユニットが加齢のどのタイミングで出現しはじまるのかを調べた。若齢~老齢のラット肝臓の等電点イムノブロット(IEF-IB)解析の結果、C2サブユニットの等電点は、若齢から中齢期までは変化しないが、老齢期に入ると変化しはじまることが明らかになった。これまでのところ、プロテアソームのN3、C7、C9サブユニットに加齢変化が認めていないが、今後、他のサブユニットについて同様の解析を進める予定である。次に、老齢ラット肝臓のプロテアソームの翻訳後修飾(研究2)および安定性(研究3)に関しては、精製プロテアソームを使用し、解析を進める。プロテアソームの精製過程でイオン交換カラムクロマトグラフィーを用いることが多いが、老齢ラット肝臓に存在する等電点が変化したプロテアソームおよびそのサブユニットの精製には、イオン交換カラムクロマトグラフィーは電気的性質が変化した分子を精製過程で失う可能性があるので適さない。すなわち、電気的性質が変化したプロテアソームの精製には、ゲルろ過や抗体カラムが有効と考え、現在、ウサギに免疫して作成したC2サブユニット血清から特異抗体を精製し、C2抗体カラムの作成を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大は、大学教育にも大きな影響をもたらした。当該年度は申請者の講義は、オンラインによる配信となり、その準備に多くの時間を割かれ、研究活動時間が新型コロナウイルス感染拡大前と比べ少なくなったのは紛れもない事実である。しかし、最近、新型コロナウイルス感染拡大に伴う研究活動に対する制限が緩和されたことから、研究に時間的な余裕が生まれ、実験計画の遅れが取れ戻せると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、研究実施計画の(研究1)に関しては、使用する老齢ラットの月齢が定まった。技術的問題は無いことから、プロテアソームのサブユニットに対する特異抗体を入手できれば目的は達成出来るものと考える。プロテアソームの翻訳後修飾(研究2)および安定性(研究3)に関しては、等電点が変化したプロテアソームの精製に有効な抗C2抗体カラムの作成が重要となる。この抗体カラムは、予備実験では20Sプロテアソームの精製に有効であるが、収量に問題が残されている。今後、抗C2抗体と樹脂との至適カップリング条件を検討し、精製プロテアソームの収量を上げることで研究のスピードを加速させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために研究全体が相対的に遅れたためである。しかし、研究活動に関する制限が緩和されたことより、当初の研究計画に掲げた実験をすべて変更せずに予定通り実施する。
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