研究課題/領域番号 |
21K11711
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
岸田 邦博 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (30412703)
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研究分担者 |
井原 勇人 和歌山県立医科大学, 共同利用施設, 准教授 (00223298)
永井 宏平 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (70500578)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フルクトース / 脂肪酸 / 油脂 / 脂質代謝 |
研究実績の概要 |
以下の2つの実験を実施した。 実験1 SD系雄ラットに①Glu+大豆油、②Fru+大豆油、③Glu+魚油、④Fru+魚油を含む飼料を4週間給餌し、各種パラメーターを解析した。肝臓重量はFru群で有意に高く、副睾丸脂肪および腎周囲脂肪重量は魚油群で有意に低かった。血漿トリグリセリド濃度は交互作用がある傾向が見られ、他の3群と比較してFru+大豆油群で有意に高くなった。肝臓ではFasn、Acacaの発現がFru+大豆油群で有意に高く、Acox1の発現は魚油群で有意に高かった。腸間膜脂肪ではAcox1の発現は魚油群で有意に低かった。また、Lpl発現はFru+魚油群が他の3群と比較して有意に低かった。以上の結果より、魚油の作用としてよく知られている脂質代謝改善作用は高Fru食給餌下でも観察されるが、腸間膜脂肪では脂肪酸酸化はむしろ低下していることが分かった。 実験2 SD系雄ラットに①Glu+ラード、②Fru+ラード、③Glu+中鎖脂肪、④Fru+中鎖脂肪を含む飼料を4週間給餌し、各種パラメーターを解析した。最終体重は、ラード群に高い傾向が見られた。血漿中Glu濃度はMCT群、Fru群で有意に高く、血漿中トリグリセリド(TG)濃度はラード群、Fru群で有意に高かった。肝臓重量はFru群が有意に高く、Acaca,Fasn等の脂肪酸合成系関連遺伝子発現はMCT群で有意に高かった。腸間膜脂肪重量に差は見られなかったが、Fasn, Scd1, Acaca, Me1, Chrebp等の脂肪酸合成系関連遺伝子発現がMCT群、Glu群で有意に高かった。これらの結果から、腸間膜脂肪では、Fruによる脂肪合成促進作用、MCTによる脂肪酸酸化作用は見られず、むしろGluまたはMCTで脂肪酸合成関連遺伝子発現が高まり、一方で腸間膜脂肪重量には影響しないことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り2つの実験を実施し、解析を終えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
フルクトースによる小腸での作用を、LC/MS/MSによる網羅的解析をおこない明らかにするとともに、同時に摂取する油脂の影響を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、代謝測定に関する予備試験が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。次年度に予定していた予備試験を実施する計画である。
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