研究実績の概要 |
フルクトースは、小腸においてフルクトース吸収や代謝に関連する遺伝子およびタンパク質発現を誘導することが知られている。しかし、その他の影響については未知であるため、LC/MSによる網羅的解析を行った。SD系雄性ラットに①グルコース+大豆油、②グルコース+魚油、③フルクトース+大豆油、④フルクトース+魚油を含む飼料を1週間給餌した。飼料中含有量は糖質60%、油脂15%とし、その他の成分はAIN93組成に準じた。ラット小腸で、油脂の種類に関係なくフルクトース摂取により発現が誘導されたタンパク質は、Glucose-6-phosphatase (G6Pase)、 Glucose transporter 5 (GLUT5)、 Fructose-1,6-bisphosphatase 1 (F1,6BPase)といったフルクトース関連タンパク質に加え、Cytochrome P450 family 4 subfamily F polypeptide 2 isoform (CYP4F2)やGlutathione S-transferase (GST)といった炎症や酸化ストレスに関連するタンパク質であった。魚油とフルクトース摂取時に小腸で発現上昇が確認されたタンパク質は、Hydroxymethylglutaryl-CoA synthase mitochondrial (HMGCS2)、Phosphoenolpyruvate carboxykinase 1 (PEPCK1)、Alcohol dehydrogenase class-3 (ADH4)、Alcohol dehydrogenase 1 (ADH1)、Aminopeptidaseであった。HMGCS2は、魚油に含まれる脂肪酸のβ酸化により誘導されたものと考えられ、ADH4、ADH1は、脂肪酸の過酸化により誘導されたものと考えられることから、フルクトース摂取が小腸での脂肪酸酸化および過酸化を修飾する可能性が示唆された。
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