研究課題
食後高血糖は2型糖尿病の危険因子であり、食事療法による制御は耐糖能異常および2型糖尿病の発症予防にとって基本かつ重要な位置を占める。本研究では、一般住民を対象として、持続的グルコースモニタリング機器を用いて非薬物療法下の糖代謝異常者の食後血糖を測定しつつ、毎食事内容とパターンのほか関連生体情報を収集し、食後高血糖を制御できるような個別化食事箋を提供するためのアルゴリズムの開発を目指すことを目的としている。これまでに非薬物療法下の糖代謝異常者を抽出し、研究同意ののち、持続血糖モニタリング下で毎食の情報を収集し、 毎食の食品群・栄養素の摂取状況ほか血糖変動に関連する諸因子を収集した。対象として、40歳以上の男女40例とした。主な基準として、i)これまでの健康診断や質問票において、糖代謝異常(空腹血糖110 mg/dl以上またはHbA1c 6.0%以上)の可能性がある者、およびii)調査時点で糖尿病および高血圧に対する薬物療法を受けていない者とした。方法として、市販のグルコースモニタリングシステムを用いて7日間の持続血糖モニタリングを行った。初日および2日目には標準食を摂取し、以降は普段の食事内容を日記に記載する方法とした。食事内容は、栄養計算ソフトを用いて毎食の食品群および栄養素の摂取量として計算した。加えて、調査開始時の身体計測指標、血液・尿検査値、唾液および糞便の収集から得られる口腔内および腸内細菌叢データとともに、睡眠評価装置による睡眠時無呼吸検査のデータを収集した。現在、データのクリーニングを進めている。
2: おおむね順調に進展している
研究フィールドである町の住民に対し、登録基準を満たす参加者の募集・登録を経て、期間中の調査がおおむね順調に遂行できた。
コロナ禍前まで実施していたように、調査で得られた個々人のデータをとりまとめて参加者にフィードバックする機会を確保し、参加者に対してわかりやすく丁寧に報告・説明していくことにより、今後とも住民から協力を得やすい関係を維持・促進する。また、食後血糖変動に関する最新の評価方法や関連因子について、研究者間で情報交換できる場を設けるようにする。
一部の生体試料の分析と現地における調査結果の報告会が次年度となる見込みとなったため、これらの費用にかかる助成金が生じた。このため、次年度には本報告書に記載した内容の研究を引き続き遂行するために必要な研究費を使用するとともに、上記にかかる費用を支出する予定である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Obes Sci Pract
巻: 8 ページ: 199-207
10.1002/osp4.560.