研究課題
食後高血糖は2型糖尿病の危険因子であり、食事療法による制御は耐糖能異常および2型糖尿病の発症予防にとって基本かつ重要な位置を占める。今年度は非薬物療法下の糖代謝異常者の食後血糖を測定しつつ、毎標準食に関する情報のほか基本的生体情報を収集し、食後高血糖の程度と関連する臨床・疫学情報ならびに細菌学的情報について検討した。これまでに非薬物療法下の糖代謝異常者40例を対象として、 毎食の食品群・栄養素の摂取状況ほか血糖変動に関連する諸因子を収集した。グルコースモニタリングシステムを用いて収集した7日間の持続血糖モニタリング値から、標準食としておにぎりおよびカロリーメイトを摂取した2日間を対象とした解析を行った。アウトカムは食後2時間のグルコース濃度の曲線下面積(AUC)とした。解析対象40例の平均年齢は66.0±9.4歳であり、男性は22例であった。おにぎりによるAUCと関連する変量として、空腹時血糖およびHbA1c以外にも血液生化学的検査項目や携帯用睡眠時無呼吸検査項目にもみられた。カロリーメイトによるAUCと関連する変量には、おにぎりによるAUCと関連する変量とは異なるものが複数みられた。さらに、口腔内細菌および腸内細菌の中には、おにぎりによるAUCおよびカロリーメイトによるAUCと相関のあるものがみられた。このことから、一般的な血糖指標や血液生化学的指標に加え、特定の体内微生物が食後血糖変動に関連することが示唆された。次年度は、自由食下で収集したAUCと関連する食物・栄養素について解析・評価を行う計画である。
2: おおむね順調に進展している
収集した研究参加住民のデータの中間解析を行い、その結果をとりまとめることができた。
調査参加者に対する研究成果のフィードバックを行う機会を確保し、参加者に対してわかりやすく丁寧に報告・説明していくことにより、今後とも住民から協力を得やすい関係を維持・促進する。また、食後血糖変動関連因子について、情報工学の専門家とも情報交換し共同研究に繋げられるようにする。
コロナ禍で行政側との調査準備・調整、結果報告、ならびに住民への成果フィードバックと相談会といった活動の制約があり、大学と現地の移動にかかる旅費が当初の見積もりから少なくなったことが主な理由である。この間、多くのデータが蓄積されたため、次年度は上記活動、特に住民対応の頻度を増やす必要があることから、大学と現地間の移動にかかる旅費として使用する予定である。
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