研究課題
アルコール離脱症状におけるOXT-OXTRシステムの機能を調べるため、野生型(WT)とオキシトシン受容体欠損マウス(OXTRKO)に対し5週間、エタノールと水の二瓶選択を呈示したのち1週間あけて複数の行動試験をおこなった。有意な差が見られた行動試験は①Open field Test, ②Tail suspension Test であった。Open Field Testでは アルコールの継続摂取によりOXTRKOはWTと比較し有意に中央区間の滞在時間が有意に短く、不安傾向の上昇がみられた。Tail suspension testでは アルコール摂取後のOXTRKOはWTと比較し無動時間が有意に長く、うつ傾向の上昇が認められた。一方でWTでもアルコール離脱症状が認められたため、WTに対しOXTの腹腔内投与を行い、離脱症状の改善効果を検討検討することを計画し、現在OXTの濃度、投与方法について薬物動態的に検討を行っている。また、社会行動試験で、漢方薬の加味帰脾湯がOXTRのアゴニスト活性を有することが明らかになったため、加味帰脾湯の経口投与によるアルコール離脱症状の改善効果の有無を検討した。OXT-OXTRシステムが、アルコールの離脱症状を減弱するメカニズムの解明のため、GABA作動性Oxtr発現神経に着目して解析を進めた。GABA作動性神経特異的Oxtr遺伝子欠損マウスvGAT-Cre:Oxtrfx/fxを作出し、そのアルコール離脱症状について行動テストを行った。その結果、vGAT-Cre:Oxtrfx/fxにおいては、OXTRKOで見られた顕著なアルコール離脱期の不安やうつの症状を示さなかった。このことからGABA作動性神経以外で発現しているOXTRがアルコール離脱症状に伴う不安やうつ症状の改善に関わることが示唆された。
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