研究課題
重症疾患の救命率は向上してきており、急性期を乗り越えた患者の長期的な予後に関心が 向けられ、集中治療後症候群PICSとして注目されている。PICSの治療として栄養療法が注 目されているが、栄養ガイドラインの元となる研究は欧米型肥満の多い患者群を対象として おり、本邦で社会問題となっている加齢により筋肉量が低下したサルコペニアが重症化した 場合の予後や最適な栄養療法については分かっていない。本研究では、重症ICU患者におけ る筋肉量と予後の関係を明らかにし、筋肉量に応じたエネルギー予測式を開発する。さらに 長期的には患者ごとの病態・栄養状態に合わせたテーラーメイド急性期栄養療法の確立を目指す。本年度においてはまず、前向きに症例を蓄積すべく、外部業者に協力を依頼し、データベース構築を行なった。 さらに、筋肉量の解析に関して、共同研究者に参画してもらい、アドバイスなどをもらっている。また後ろ向き症例をまとめて学会発表を行なった。その結果、CTで腸腰筋面積を測定し、サルコペニアの指標とすることで、入院時の栄養状態を評価可能であり、サルコペニアは重症ICU患者で感染性合併症を増加させる可能性があることがわかった。また重症患者の消費エネルギーと筋肉量に相関関係があることがわかった。さらに、従来の予測式よりも重症患者のREEを的確に予測しうるモデルが、入院時体重、体 温、年齢、身長、筋肉量、入院病日から算出できた。
2: おおむね順調に進展している
データベース構築ができたことで、今後の症例集積の目処がたった。
前向き症例を蓄積していく。後ろ向き症例に関してまとめた結果を学会発表や論文投稿していく。
症例のデータベースを電子カルテと連動させるために外部業者に委託した際に予定より多くの金額が必要になったため。
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