研究課題/領域番号 |
21K11737
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
根本 正史 創価大学, 公私立大学の部局等, その他 (80370980)
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研究分担者 |
屋嘉比 康治 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90182295)
川井 秀樹 創価大学, 理工学部, 教授 (90546243)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 摂食行動 / 脳腸相関 / 消化管ホルモン / 視床下部 / 報酬系 / GCaMP / ライブイメージング |
研究実績の概要 |
げっ歯類をモデル動物として、消化器系組織から分泌されるホルモン(グレリン、CCKなど)を末梢投与し、食欲が亢進して食行動を開始する初期過程から、さらに満腹を感知して食行動を終止するまでの一連の摂食過程において、視床下部、脳幹、大脳深部報酬系の神経核群の活動と摂食行動の動的過程をライブイメージングすることを目的とした。進展状況は以下の通り。 A. 神経活動のCaイメージングの為の高感度蛍光CaセンサーGCaMP6sを発現する組み換えアデノ随伴ウィルス(rAAV)の調整法を確立: AAV Helper Free SystemによるrAAVベクターの作製。pAAV VectorとしてpAAV.Syn.GCaMP6s.WPRE.SV40を使用。pRC Vecttor,pHelper Vectorと共に,rAAVベクター産生に最適化された293T細胞にコトランスフェクションした。産生されたrAAVを抽出,精製後,Real Time PCRで力価を測定した。 B. 腹側被蓋野(VTA)へのrAAVベクター定位的注入と屈折率分布型(GRIN)レンズの挿入: 初回の神経活動可視化の標的領域をVTAとした。野生型ICRマウス(日齢50-70)を用いて、直径2mmのburr holeから目標座標として、bregmaから後方に3mm、側方に0.4mm、脳表から4.5mmに設定,rAAV 500nlを注入した。同じ位置に径0.5mmのGRINレンズを挿入,固定した。 C. 摂食行動訓練とライブイメージング: レバー押しによる摂食訓練を行い,2-3週間後,Miniscope v4.4を頭部に装着,Free movingの状態で脳活動のライブイメージングが可能となった。 D. イメージングセッション終了後,心臓灌流して脳切片作成,VTAの免疫組織化学的分析とGRINレンズ挿入位置を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の実験室確保の調整に時間がかかった。その後,rAAVの調整,海外発注の微小蛍光顕微鏡Miniscopeも届き,VTAのライブイメージングが可能となり,遅れは取り戻しつつある。当初は,グレリンをはじめとした消化管ホルモンの腹腔内投与まで計画していたので,やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後,以下の項目を実行していく予定。(1)コントロール実験として,消化管ホルモンを投与せずに,摂食行動に関連してVTA神経群のライブイメージングを繰り返して,再現性あるデータが得られるような細かな実験条件の調整を行う (2)次に,グレリンの腹腔内投与前後での神経活動の変化をライブイメージングにて明らかにする。次いで、CCK投与前後についても検討する。(3)VTAの摂食に関わる神経活動の変化について,細胞種と神経回路を同定する。これには,イメージングセッション後の,免疫組織化学的分析(GABAニューロン:抗GAD67抗体、ドーパミンニューロン:抗チロシンヒドロキシラーゼ抗体にて染色、また、Hoechst33342にて核染色)に加えて,ライブイメージング中のoptogenetics等の手法も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来,グレリンなどの消化管ホルモンを購入予定であったが,研究の進行がやや遅れている為,次年度にこれらの薬物購入に充てられる予定。また,2022年度にMiniscopeを海外からの直接の輸入で安く購入できたので,予算残高があれば,もう一台購入も検討している。
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