研究課題
本年度は、主に疲労と学習意欲の関係性を明らかにする研究を実施した。これまでの疲労・学習意欲研究から、疲労と学習意欲は鏡像関係にあることが明らかにされている。しかしながら、疲労や学習意欲はどちらも多面的な性格を持ち、多角的視点から検討されるべきものである。本研究では、最初に、健常者18名を対象者とした疲労研究を実施した。対象者には30分間の疲労負荷課題を行ってもらい、疲労負荷前後に疲労および意欲を評価した。疲労負荷課題としては、パソコン画面上に3秒ごとに表示される文字と2つ前の文字が等しいかどうかを判断する2-back課題を用いた。 疲労負荷課題は30分間実施した。これらの検査より、疲労負荷後の疲労感は、疲労負荷前後の意欲(P=0.020, R=0.544)および学修意欲(P=0.039, R=0.490)の変化と有意な正の相関を認めることが明らかとなった。一方では、来年度以降の研究を先取りし、ビタミンCの、抗精神的疲労効果を、加速度脈波やPC課題のパフォーマンスを評価することで明らかにした。加えて、健常者23名を対象者とした脳波研究から、学習意欲と関連性の高い性格である協調性と疲労と関連性の高い気質である報酬依存の程度は、食品提示による脳活動の変化と有意な負の相関を認めることを明らかにした。以上より、本年度は疲労と学習意欲の関係性を明らかにしただけでなく、食と疲労の関係性、食と学習意欲の関係性、および抗精神的疲労素材の1つを開発し、来年以降の研究を充実させる貴重な成果を得ることにも成功した。
1: 当初の計画以上に進展している
本年度は疲労と学習意欲の関係性を明らかにしただけでなく、食と疲労の関係性、食と学習意欲の関係性、および抗精神的疲労素材の1つを開発し、来年以降の研究を充実させる貴重な成果を得ることにも成功したから。
令和4年度に食と疲労の関係性を明らかにする研究を実施する。食と疲労との間には、密な関係があることは、これまでの研究から明らかになっている。しかしながら、質問紙のみで疲労を評価したものや、ある食材摂取とその食材のプラセボ摂取差異を実験的な試験デザインで検討した研究がほとんどである。疲労は、多面的な性格を持ち、質問紙のみで評価されうるものではなく、多角的視点から検討されるべきものである。加えて、食も多面的な側面を有し、食材のみで評価しうるものではない。したがって、本研究では、食と疲労の関係性について、質問紙のみではなく疲労の評価に有用な加速度脈波検査、脳波検査、PC課題などの検査を実施し、食についても食品・栄養、調理、食環境、食習慣の視点から多角的に調査することによって、食と疲労の関係性を統合的に解明する。
残金が168円ですが、この金額に見合う研究に必要な支出が見当たらなかったため。次年度は、次年度より先の研究をできれば一部先取りしたいため、そのための研究費として使用する予定である。
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