研究課題/領域番号 |
21K11739
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研究機関 | 同志社女子大学 |
研究代表者 |
田中 雅彰 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (60382199)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 疲労 / 食 |
研究実績の概要 |
抗疲労効果を有する食材の科学的検証や疲労に対する抵抗力を高める食品の開発は、医学的・社会的・経済的に重要である。本年度は、主に食と疲労の関係性を明らかにする研究を実施した。 食と疲労との間には、密な関係があることは、これまでの研究から明らかになっている。しかしながら、質問紙のみで疲労を評価したものや、ある食材摂取とその食材のプラセボ摂取差異を実験的な試験デザインで検討した研究がほとんどである。疲労は、多面的な性格を持ち、質問紙のみで評価されうるものではなく、多角的視点から検討されるべきものである。加えて、食も多面的な側面を有し、食材のみで評価しうるものではない。したがって、本研究では、食と疲労の関係性について、質問紙のみではなく、疲労の評価に有用な加速度脈波検査、脳波検査、PC課題などの検査を実施し、食についても食品・栄養、調理、食環境、食習慣の視点から多角的に調査することによって、食と疲労の関係性を統合的に解明することを試みた。 健常者27名を対象として、食品・栄養、調理、食環境、食習慣についての調査を行うとともに、疲労評価検査(主観質問紙検査、加速度脈波検査、および脳波検査)を実施した。初回疲労評価検査終了後、30分間の疲労負荷課題を行い、その後再び疲労評価検査を実施した。ショ糖の含有量が多い食品(お菓子・スイーツ、チョコレート、清涼飲料水)の摂取量と疲労感の間に有意差な正の相関(p<0.005)が見られた。この結果から、ショ糖の摂取量が多いほど疲労が増幅しやすくなることが示唆された。一方では、酢やポリフェノールの摂取量と疲労感及び疲労の増幅については、相関は認められなかった。ショ糖や酢・ポリフェノールの抗疲労効果については、詳細な摂取状況についての情報を用いたさらなる検討が必要であったが、本年度は疲労と食の関係性を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は食と疲労の関係性を明らかにすることを目的としていたが、食の有する多面的な側面から多角的に検討し、食と疲労の関係性について貴重な成果を得ることに成功したから。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は食と意欲の関係性を明らかにする研究を実施する予定である。 食と学習意欲との間には、密な関係があることは、これまでの研究から明らかになっている。しかしながら、質問紙のみで学習意欲を評価した研究がほとんどである。学習意欲は、多面的な性格を持ち、質問紙のみで評価されうるものではなく、多角的視点から検討されるべきものである。したがって、本研究では、食と学習意欲の関係性について、質問紙のみではなく、学習意欲の評価に有用な心電図検査、PC課題などの検査を実施し、食についても食品・栄養、調理、食環境、食習慣の視点から多角的に調査することによって、食と学習意欲の関係性を統合的に解明する。
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