研究課題
数理統計学における非線形実験計画法に対する情報幾何学の定式化と最適なデザインの導出を目標とし、研究課題を実行している。昨年度に引き続き、実験計画法における量子情報幾何学的な考察が可能かについて考察を進めてきた。最終年度の主な研究成果としては以下の4つである。(i) 有限サンプルに関する誤差限界と漸近的な誤差限界に関するギャップに関する性質、(ii) 量子Fisher計量による推定誤差限界の達成可能条件、(iii) 量子系におけるベイズリスクの下界の導出とその性質、(iv) 量子系におけるベイズリスクの下界を計算するためのPythonコードの開発。成果(i)については、昨年度までに得られている一般的な証明をさらに精査するとともに、有限次元の量子系において、有限サンプルに関する誤差限界と漸近的な誤差限界との比がどのように振る舞うかを調べた。この結果については、国際共同研究として、論文執筆を行い投稿予定である。成果(ii)については、量子情報理論における未解決問題(量子クラメール・ラオ限界の局所達成必要十分条件)であるが、必要十分条件を特徴づける具体的な統計モデルを構成し、現在論文を執筆中である。成果(iii)については、以前得られた証明における誤りを修正することができ、論文発表を行なった。成果(iv)は指導学生と共同研究として、提案する下界の計算アルゴリズムの実装と量子2準位系における具体例の解析を行なった。これらを含む研究成果を国内研究会3件、国際会議3件、学術誌2件として発表した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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