研究課題/領域番号 |
21K11751
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
王 贇トウ 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (00880791)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 格子暗号 / デジタル署名 / 安全性評価 |
研究実績の概要 |
令和5年度では本研究において以下の研究実績がある. (1) リング署名方式はグループ内のどのメンバーがメッセージに署名したかを特定できないように設計されている。2011年に、Liuらは双線型写像ベースの前方安全性付きリング署名を提案した。本研究では、Liuらのリング署名に基づき、格子のSIS問題に帰着した前方安全性付き格子ベースリング署名方式を提案した。本研究結果は論文にまとめ、国際会議ICICS2023に採録された。 (2) 一部の耐量子拡張トリプルディフィーヘルマン(X3DH)プロトコルは、匿名性と否認性を主張しているが、その匿名性は通信内容のみを保護し、区別できるアイデンティティキー(ID-key)を保護できない。さらに、そのID証明書は、認証中に信頼できるチャネルを介して配信される必要がある。これらの証明書が証拠と見なされる場合、その否認性は破られてしまう。本研究では、これらの問題に対して匿名性を高めるためにエフェメラルキーを活用し、ID-keyを隠す解決策を提案する。IDは信頼できるチャネルなしで自動的に認証され、否認性のための証拠を排除する。本研究の成果は論文にまとめ、国際会議SciSec2023で発表した。 (3) 現在、格子理論における(近似)最短ベクトル問題(SVP)を解決するために、G6Kとpro-pnj-BKZ と呼ばれる2つの主流なストラジーがある。本研究では、ジャンプ値が非常に大きい場合にpnj-BKZシミュレータを最適化し提案した。提案ストラジーはG6Kよりも少ないメモリでpBKZよりも少ない時間コストをもたらす。例えば、170次元のTU Darmstadt SVPチャレンジおよび最大176次元のイデアル格子チャレンジの記録を達成した。本研究成果は論文にまとめ、国際会議ASIACCS2023に採録された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究プロジェクトでは格子暗号方式の設計や安全性評価、そして暗号方式の実装などの項目で計画を立てた。各項目に取り組み、おおむね研究実績を出して順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、格子ベースデジタル署名方式を開発する予定である。さらに、暗号方式の社会実装及び応用に関して取り組む予定である。また、安全性解析するために,格子解読アルゴリズムの改良も続けていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は海外の研究協力者を日本へ招待するために旅費を多めに使用したが、次年度も国内外の研究協力者を招待する予定で旅費の使用額が生じる。 さらに、次年度は研究の最新動向を把握すると研究成果を発表するため、国内研究会、国際会議、及びセミナーへの参加費及び旅費が必要だと考える。
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