研究課題/領域番号 |
21K11757
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
宇野 裕之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60244670)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 数理パズル / アルゴリズムの設計と解析 / 離散数学 / 組合せ遷移 |
研究実績の概要 |
本研究は,数理的なパズルやゲームが持つ計算原理やアルゴリズムを解明すること,さらにそれらに共通する構造や解法を見出し,高いレベルで抽象化しより一般的な問題解決技法として体系化することを主要な2つの目的としている.そのためにより具体的には,とくに理論計算機科学や離散数学の見地から,普遍性を持ち応用上も重要と思われる数理的パズルやゲームを見出し,個別にその計算原理の解明や解法アルゴリズムの開発を行うことを基本的かつ優先的な事項として実施する. そのもとで初年度にあたる令和3年度は,具体的な三つのパズルを対象とした.一つ目はペンシルパズルの一つである陰陽パズルである.これはその背後の理論にグラフ分割問題を持ち応用が広いが,このパズルが計算複雑さの観点から困難であることを示した.これにより固定パラメータアルゴリズムやより制限された場合の効率的な解法へと研究が向かう.二つ目は,申請者ら自身が考案したGourdsと呼ばれるスライディングブロックパズルである.これも背後に高度な対称性など数学的な背景をもち,すでに困難性などを示している.この問題を組合せ遷移問題ととらえ,対称性を利用した最短手数求解手順の開発や,実験的な考察などを遂行中である.そして三つはパッキングパズルの一種であるレプタイルである.この問題に対しては,もっぱら計算機実験による求解に徹し,解が持つさまざまな規則性を見出してその性質を検証中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初より,計画初年度は既知パズルの解法調査,未知パズルの調査,個別パズル・ゲームの理論的解析,それ資する求解プログラムの作成を実施項目として掲げていた.これに対して初年度の研究実績としては,一般的な普遍性を持ち得る具体的な三つのパズルを対象とし,それらに対して計算複雑さの観点からの結果や組合せ遷移問題としての最短手数求解手順の開発や,実験的な考察,計算機実験による求解および解が持つさまざまな規則性を見出すことによる性質を検証などを実施するおとができた.
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今後の研究の推進方策 |
計画当初より,計画初年度は既知パズルの解法調査,未知パズルの調査,個別パズル・ゲームの理論的解析,それ資する求解プログラムの作成を実施項目として掲げていた.これに加えて二年度目は,あらたに折り紙を対象に加えてその数学的性質の解明を行いたい.また,さまざまなパズルの原理,解法などを分類するとともに,研究成果をわかりやすく見せるためのアプリケーションの開発にも着手したいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で,複数回の海外出張を含めて当初予定していた多くの出張がキャンセルとなった.またそれらに連動して支出予定であった物品の購入についても滞りが生じた.新年度が始まっても多大な影響が継続しているため,支出困難な状況も継続する可能性がある.
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