研究実績の概要 |
令和3年度は, 1. ハイパーグラフの coarse Ricci 曲率の研究, 2. 有限体上の QM アーベル多様体の自己準同型環の研究, 3. ハイパーグラフ上の熱方程式の差分近似解の研究, 4. 曲面上のグラフの研究を中心に行った. 1. では, 北別府悠氏(熊本大学), 池田正弘氏(理化学研究所)との共同研究で得られていたハイパーグラフの coarse Ricci 曲率に関する研究において, 解決していなかった上側 Ricci 曲率と下側 Ricci 曲率の一致に関する部分を, 上原崇人氏(岡山大学)を加えた共同研究として解決した. また, これらの結果の劣モジュラ変換(ベクトル値劣モジュラ関数)への拡張も行い, これらをまとめて論文誌に投稿した. 2. については, 新井啓介氏(東京電機大学)との共同研究で, 有限体上の四元数環に乗法を持つアーベル多様体の自己準同型環の構造に関する研究について, これまでに得られたことを論文にまとめた. 3. では, 吉田悠一氏(NII), 宮内敦史氏(東京大学), 池田正弘氏(理化学研究所)との共同研究として得られていたハイパーグラフ上の熱方程式に関する結果に関して, 熱方程式の解の差分近似を用いて得られるコミュニティのコンダクタンスについての理論的結果を与え, 論文に加え, 論文誌に再投稿した. 4. は, 松本直己氏(慶應義塾大学)との共同研究として, Jonasson-Schramn により知られていた平面グラフのランダムウォークの被覆時間の上下限に関する結果を, 種数 g のコンパクト向き付け可能曲面上のグラフに拡張することを試み, 付随するリーマン面上の circle packing の最大半径が小さくなるというある種の均一性が成り立つ状況でカバータイムの上下限を得た. 本研究に関しても論文にまとめた.
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