研究課題/領域番号 |
21K11775
|
研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
重弘 裕二 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40243175)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 組合せ最適化問題 / 統計モデル / 集中化 / 多様化 / 近傍探索 |
研究実績の概要 |
令和3年度には、より良い新たな統計モデルについて検討を行った。具体的には、確率分布が度数分布表により表されるようなモデルを考え、度数分布表を多項分布と捉えて、各階級に対してベイズ推定を行うことにより、確率分布を推定しようとするものである。これについては令和2年度から検討を行っており、本助成事業の研究期間の前に一度学会発表を行っていた(令和2年電気関係学会関西連合大会)。令和3年度に入っても、引き続き様々な検討と計算機実験による評価を繰り返したが、やはり、安定して良い結果を得ることができなかった。しかしその過程において、この手法の問題点が明らかになってきた。 その問題点というのは、精緻な分布を得ようとして階級幅を狭くするほど各階級の度数が小さくなってしまうが、度数が小さいと推定量があいまいになってしまうため、結果として、精緻な分布を得ることができないというものである。これに対する改善としては、「各階級の度数が大きくなるようにする」ということであるので、「階級を1つにまとめた度数分布表」に相当するモデルを新たに考案し、検討を行った。具体的には、確率分布が「解改善確率」と「改善時の改善量」と名付けた2つの量により表されるモデルである。なお、前者が度数の推定量、後者が階級幅に対応している。 このモデルを組合せ最適化に利用するためには、前述の2つの量を推定する方法を導出する必要があるが、それに先立ち、それらの量が実際の組合せ最適化問題においてどのようにふるまうのか、計算機実験により確認した。ここまでの実験では、一次関数、あるいは指数関数により近似推定できそうだということがわかっている。これについては学会発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書(様式D-2-1)の「補助事業期間中の研究実施計画」に記述した内容のうち、令和3年度から令和4年度にかけて新たな統計モデルについて検討するという部分については、おおむね順調に進展していると考えている。「研究実績の概要」欄に記述したように、1つ目のモデル(度数分布表により表されるモデル)の検討が終わり、2つ目のモデル(2つの量により表されるモデル)の検討に取りかかっている。 「補助事業期間中の研究実施計画」に記述した内容のうち、これまで研究を行ってきた手法については、有効性を確認する計算機実験を行っているところであるが、結果を取りまとめて成果発表を行うことができていない。この点については、予定よりもやや遅れていると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
今のところ、交付申請書(様式D-2-1)の「補助事業期間中の研究実施計画」に記述した内容から、特に大きな研究計画の変更等は考えていない。 現在検討中のモデルについては、そのモデルに対してオーバーヘッドなく統計量を推定する方法を確率論に基づき導出し、その統計量に基づき近傍操作を選択する方法を導出し、ソフトウェアシステムを試作してアイデアの正当性を確認したい。既に、前述した2つの量がどのようにふるまうのかについては、計算機実験による調査を終えているので、その結果に基づき、導出および最適化手法の構築を進めたい。 それと並行して、これまで研究を行ってきた手法については、有効性を確認する計算機実験を行い、結果を取りまとめて成果発表を行いたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は、研究遂行に最も重要となるコンピュータを購入するために本助成事業のご支援を利用させていただくのが最善であると判断し、コンピュータを購入した。コンピュータの代金が助成していただいた額とわずかに異なっていたため、その差額が次年度使用額となった。 この次年度使用額は令和4年度請求分と合わせて、研究遂行に必要となる物品(ハードディスクを予定している)の購入や学会参加費に充てることを計画している。
|