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2023 年度 実施状況報告書

スパース経時データのクラスタリング法の開発と臨床医学への応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K11787
研究機関大阪大学

研究代表者

山本 倫生  大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (50721396)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード経時測定データ / クラスタリング / 関数データ解析 / スパース経時データ
研究実績の概要

経時データや空間データなど、時間や位置情報に依存して滑らかに変化するデータを一般化し、「関数」として捉えたデータのことを関数データと呼ぶ。関数データの解析手法である関数データ解析は、測定機器や計算機の発達に伴って1990年代以降多くの研究がおこなわれており、近年は、関数空間上の確率解析とも結びつき、理論・応用の両面から精力的に研究されている。経時データのクラスタリングにおいて、対象ごとの測定数が極端に少ない経時データ(スパース経時データ)の場合に、背後にあるクラスタ構造を推定することが困難である。本研究では、スパースな経時データに対して適用可能なクラスタリング法の開発と、遺伝子等の複数のバイオマーカーによる疾患サブタイプ探索が可能な方法への拡張を目的としている。
スパース経時データに対して既存のクラスタリング法が機能しない大きな原因の1つは、対象ごとに測定時点が少なく、各対象の経時的な変化をデータから推定できない点にある。そこで、対象ごとの経時的な変化を推定することなく、クラスタ中心を推定するクラスタリング法を提案した。また、提案手法の理論的性質として、提案する経験損失関数は真に最適な損失関数への一致性推定量であること、および、クラスタ中心の推定量の一致性を証明することに成功した。また、既存の経時データのクラスタリング法との比較を目的として数値実験を実施し、特にサンプルサイズが小さく、かつ、測定時点数が少ないスパースな状況において、提案手法の方がより正確に背後にあるクラスタ構造を推定できることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

スパース経時データに対するクラスタリングにおいて、対象ごとの測定数が極端に少ないスパース経時データの場合に、背後にあるクラスタ構造を推定可能な方法を数学的に定式化した。また、理論的性質として、経験損失関数の真に最適な損失関数に対する一致性とクラスタ中心の推定量の一致性を証明することに成功した。さらに、数値実験および実データの解析に基づいて、既存の経時データのクラスタリング法と比較して提案手法の方がより正確にクラスタ構造を推定できること示した。
一方で、スパースな経時測定データに対して適用可能な既存手法との比較を目的とした数値実験を実施するにあたって、既存手法の文献に記載されている内容に大きな誤りがあることが判明し、その修正のために多くの時間を費やしてしまった。なお、現在は、当該論文を修正した内容に基づいて既存手法を実装し、数値実験を終えることができた。

今後の研究の推進方策

スパース経時測定データに対するクラスタリング法の開発に成功したため、今後は、提案手法の拡張を行う。具体的には、クラスタ構造が存在する部分空間の推定を同時に行うクラスタリング法を開発する予定である。数学的な定式化や簡単な数値実験を通して手法の有用性を確認後、手法の理論的性質を検討する。なお、関数データでない通常のデータに対する部分空間とクラスタリングの同時推定法の漸近的性質の証明方法を、スパース経時測定データに対する提案手法の理論的性質の証明方法と合わせることで、新たに開発する同時推定法の漸近的性質も導出可能であると予想している。

次年度使用額が生じた理由

成果の論文化のための時間を十分に確保できなかったため、その英文校正や学会等での発表費用が、計上していた金額を下回ることとなった。翌年度にそれらの
目的に使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)

  • [国際共同研究] McGill University(カナダ)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      McGill University
  • [学会発表] スパース経時測定データに対するクラスタリング法の漸近的性質2023

    • 著者名/発表者名
      山本倫生,寺田吉壱
    • 学会等名
      2023年度日本分類学会大会
  • [学会発表] 関数データ解析に基づく経時測定データのクラスタリング2023

    • 著者名/発表者名
      山本倫生
    • 学会等名
      九州大学数理学研究院統計科学セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] A functional generalized additive model-based scan statistic for disease cluster detection2023

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, M., Anzai, T., Takahashi, K.
    • 学会等名
      6th International Conference on Econometrics and Statistics (EcoSta 2023)
    • 招待講演
  • [学会発表] スパース経時測定データに対するクラスタリング法の提案とその理論的性質2023

    • 著者名/発表者名
      山本倫生,寺田吉壱
    • 学会等名
      2023年度統計関連学会連合大会
  • [学会発表] Clustering for sparsely sampled longitudinal data based on basis expansions2023

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, M., Terada, Y.
    • 学会等名
      14th Scientific Meeting of the Classification and Data Analysis Group (CLADAG 2023)
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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