研究課題/領域番号 |
21K11794
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
南 美穂子 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70277268)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 分布のクラスタリング / 分割に対する分布 / 統計的因果推論 / 生物資源評価 / スプライン平滑法 / 関数データ解析 |
研究実績の概要 |
分布に対するクラスタリング法に関しては,全米熱帯マグロ類委員会(IATTC)のCleridy E. Lennert-Cody氏との共同研究で,クラスターの均一性を測る尺度と検定手法,均一性の緩和基準とクラスター数の探索法を提案し,東部太平洋マグロ漁で計測されたキハダマグロの体長データによる海域の分割問題へ応用しているが,さらに,実データを模したシミュレーションデータで Modified Jensen-Shannon divergence を用いた提案手法と,Earth's Movers distance, Cramer Von-Mises distance を用いた既存手法の分割精度を比較し,提案手法の精度がより良いこと,また,分割結果が望ましい性質を持つことを示した.これらは論文にまとめて学術誌に投稿し,査読中である.この研究成果は国際学会でも講演発表を行っている.また,IATTC主催の国際会合でも加盟国に対して報告されており,他の魚種に関しても応用されている.現在は,分割に事前分布を与えることによって分割数を制御するベイズ流の分布のクラスタリング法に拡張する研究を同氏と進めている. 中部大学の高津氏,大場氏とのヘイケボタルの発光における「またたき」の意味を探る共同研究について応用統計学会年会で講演発表を行った. 環境省のPM2.5等疫学調査研究検討会での研究の関連で,児童の身長と肺機能の成長の関係を探っているが,そのための解析手法として SITAR model (T.J.Cole, 2010) を多変量に拡張し, 変量効果間の関係に着目したモデルについて研究を進めている. 上記に関連した統計数理・解析手法(統計的因果推論・共変量調整,GAMMモデル,関数データ解析など)についても共同研究を行い,学会発表や論文投稿を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分布に対するクラスタリング法に関しては論文を学術誌に投稿し,査読コメントに従って改訂して再投稿している.この研究や、昨年度学術誌に掲載されたホタルの発光に関する研究に関しては、国内外の研究集会で発表している.また、これまでの提案手法を拡張する研究にも着手している. 上記に関連した統計数理・解析手法(統計的因果推論・共変量調整,GAMMモデル,関数データ解析など)についても共同研究を行い,学会発表や論文投稿を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
分布のクラスタリングに関しては,分割に事前分布を想定することによってクラスター数を制御するベイズ流のクラスタリング法への拡張を行う予定で進めており,共同研究者の全米熱帯マグロ類委員会の Cleridy Lennert-Cody氏を今夏訪問する予定である.また,提案手法のプログラムをRのパッケージにする計画も進めている.
児童の身長と肺機能の成長に対する多変量 SITAR model への拡張は,モデルへのあてはめを行うプログラミングを進め,実データに応用し論文にまとめる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
因果推論に関連した論文の英文校閲を年度末に行う予定であったが、論文完成が予定よりも遅くなったため、次年度使用額が生じた.
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