研究課題/領域番号 |
21K11806
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
平田 博章 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (90273549)
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研究分担者 |
布目 淳 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (60335320)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 計算機システム / ハイパフォーマンスコンピューティング / スレッドレベル並列処理 / 投機実行 |
研究実績の概要 |
本研究は、スレッドレベル並列性の抽出機会を拡大する可能性を学術的な見地で明らかにし、スレッドレベル並列実行技術を確立することを目的とする。プログラム中において投機実行が失敗する原因となるコード断片を、失敗の影響が出ない場所に移動(マイグレート)したかのように実行する動的コードマイグレーション方式を提案する。これにより、投機実行の失敗を回避して、並列性抽出機会の劇的な拡大を図る。投機実行でありながらも失敗しない、という点でもはや投機実行でなく、従来の純粋(非投機的)な並列実行方式を含めた並列処理技術全体の発展に新たな局面をもたらすものと言える。また、本研究で確立する並列化技術はビッグデータや人工知能を含む広い分野のプログラムに適用が可能である。よって、本研究の成果は広い学術領域の研究を加速させることにも貢献できる。 今年度は、まず、動的コードマイグレーション方式の機能設計を行い、アプリケーションプログラムと並列投機実行システムとの間のインタフェースを決定した。どの程度まで複雑な処理を動的コードマイグレーションの対象とできるかを見定め、動的コードマイグレーションによって実行を遅らせる処理(コード断片)を並列投機実行システムに登録する方法や、その処理で使用するデータの受け渡し方法などを検討することによって、並列投機実行ライブラリの仕様を設計した。 その後、その仕様を満たすシステムの実現方式の検討に着手した。ソフトウェアのみで実装する並列投機実行システムと、ハードウェアとソフトウェアで協調処理する並列投機実行システム、のそれぞれについて、個別に概略設計を行っている。今年度末の時点では、実現方式に関する主要な課題に対する解決策はすべて得られており、並列投機実行ライブラリの仕様設計に対するフィードバックも終了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りの進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、概略設計を行う。また、これと並行して、今後の研究での利用に備えて、実現方式におけるハードウェアとソフトウェアのドレードオフについて整理しておく。 その後、並列投機実行システムの実装およびシミュレータ開発を行い、これらを用いて動的コードマイグレーション方式の性能評価を行う。これにより、動的コードマイグレーション方式の有効性を明らかにし、また、さらなる並列性抽出の可能性の追求に向けて新たな知見が得られることを期待している。
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