令和5年度は、以下の(A)(B)(C)の研究を行った。(A)ハードウェア・ソフトウェアを含む多くの異種の処理環境を適切にモデル化する方法:前年までに行った、ROS2(Robot Operating System 2)による通信により遠隔ロボットアームを実現する方法、およびエッジ・クラウドに分散した異種処理環境の扱いについて、ROS2/DDS(Data Distribution Service)の拠点間をインターネット経由でつなぐ方法をもとにして、異種(ヘテロジニアス)な処理を通信により統合する環境を検討した。(B)上流設計における抽象度の高いモデルでの性能シミュレーション方法: 前年までに検討した UML(Unified Modeling Language)シーケンス図からROS2システムを生成する方式をもとに、粗粒度シミュレータの実現と、実際のC/C++高位合成によるFPGA回路を想定した細粒度シミュレーションの実現の検討を進めた。(C)モデルから実装を生成することが可能な自動化設計手法:前年までに検討したシステム自動生成方式に関する内容をもとに、コード生成システムの実装方式を検討した。 以上(A)(B)(C)の検討をもとに、画像縮小を並列に行うシステムを題材として、複数のソフトウェア間もしくは複数のFPGA回路モジュール間をDDS(Data Distribution Service)の通信を用いてシミュレーション動作させ、更に、FPGA上にて動作する回路を自動生成する環境を提案し、国際会議ICCE2024にて発表した。 研究期間全体を通して、知的ロボットのシステム設計において、ソフトウェアだけでなくFPGA等の異種計算環境を含む処理システムをモデル化し、モデルからの自動生成によりロボットソフトウェアシステムを実現する開発方式・ツールのあるべき姿を検討することが出来た。
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