研究課題/領域番号 |
21K11828
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
番原 睦則 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (80290774)
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研究分担者 |
田村 直之 神戸大学, 情報基盤センター, 教授 (60207248)
宋 剛秀 神戸大学, 情報基盤センター, 准教授 (00625121)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 解集合プログラミング / 巨大近傍探索 / 時間割問題 |
研究実績の概要 |
近年,SAT技術の適用範囲を Beyond NP に拡大しようとする試みが国際的に活発化し,その重要課題として「モデル計数」,「知識コンパイラ」,「高階ソルバー」,「最適化や極小問題等への対応」が挙げれている.本研究では,「最適化や極小問題等への対応」に着目し,SAT技術を用いて系統的探索と確率的局所探索を統合的かつ効率的に扱うアルゴリズム技法およびソルバーの研究開発を行う.
3年計画の初年度である2021年度は,国際ワークショップ発表1件,国内学会の大会での発表6件,国内研究会での発表4件,学生奨励賞受賞1件の成果を得た.
組合せ最適化問題に対して系統的探索と確率的局所探索を統合的に適用する探索手法である優先度付き巨大近傍探索 (LNPS: Large Neighborhood Prioritized Search) を改良し,解集合プログラミング (Answer Set Programming; ASP) システム上に実装した.提案手法の有効性を評価するために,カリキュラムベース・コース時間割問題集(全61問)を用いて実験を行った.その結果,提案手法は61問中11問について,既知の最良値を更新することに成功した.また,通常の ASP 解法と比較して,既知の最良値との比を+472%から+53%に大幅に改善することができた.さらに,提案手法の特長的なアプリケーションの開発に向けて,時間割問題に加え,配電網問題,車両装備仕様問題などへの応用研究も行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3つの研究テーマ「(A) 系統的探索と確率的探索を統合的に扱うアルゴリズムの研究」,「(B) ASP に基づく系統的探索と確率的探索の統合 (ソルバーの開発)」,「(C) 特長的なアプリケーションの開発」について,当初の計画よりも早いペースで進展している.
2021年度は,テーマ(A)を完了し,テーマ(B)のソルバー開発について,プロトタイプシステムの実装を完了した.テーマ(C)では,代表的な教育時間割問題の一つであるカリキュラムベース・コース時間割への応用研究を行い,既知の最良値を更新するなど優れた結果を得た.
研究者が集まる会合を3回行い研究進捗状況について確認した.また,日本ソフトウェア科学会大会,人工知能学会全国大会オーガナイズドセッション,プログラミングおよびプログラミング言語ワークショップ(PPL)などで,研究分担者以外の研究者とオンラインで研究交流を行い,今後の研究推進方針について示唆を得た.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,研究テーマ「(B) ASP に基づく系統的探索と確率的探索の統合 (ソルバーの開発)」の完成を目指し研究開発を進める.テーマ「(C) 特長的なアプリケーションの開発」については,新たにナーススケジューリングへの応用を検討する.
研究者全員が参加する研究打合せを年2回開催する.開催形式は新型コロナウイルス感染症の状況に応じて判断する.可能であれば,海外共同研究者にもオンラインで参加してもらう.ここでは,アイデア・実現技術の共有を主目的とし,進捗報告,研究意見交換,研究計画・方法に関する議論を行う.また,本研究で新しく得られた知見・成果については積極的に国際会議,国内学会等で発表し,フィードバックを得る.
新型コロナウイルス感染症の影響により,研究活動が制約を受ける可能性がある.状況に応じて研究計画を修正し進めることとする.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により,出張,海外共同研究者の招聘など研究活動に大きな制約を受けた.この影響は今後も続くと予想されるため,状況に応じて使用計画を修正し進めることとする.
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