研究課題/領域番号 |
21K11857
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
平田 孝志 関西大学, システム理工学部, 准教授 (10510472)
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研究分担者 |
伊藤 友輔 東京理科大学, 工学部電気工学科, 助教 (00846537)
木村 共孝 同志社大学, 理工学部, 准教授 (20756382)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ネットワーク設計 / 高信頼ネットワーク / 省電力 / ネットワーク運用技術 |
研究実績の概要 |
現在,5G・AI・IoT等の新たなサービスが展開している.また,インターネットの発展に伴い,エッジコンピューティング,ネットワークスライシングといった新たなネットワーク運用技術が展開されようとしている.急速に多様化,進化するサービスを高品質に提供するためには,これらのネットワーク運用技術と光無線融合ネットワーク基盤のサービスに応じた統合運用が必要不可欠である.また,再生可能エネルギーの促進に代表されるように,情報ネットワークの省電力化は重要な課題であり,さらには,高信頼なネットワークサービスの提供のためにはネットワーク機器の故障に対する十分な備えも必要となる.このような背景のもと,本研究課題においては,将来の高度情報通信社会を支える重要な構成要素となる高品質・高信頼な省電力ネットワークシステム最適設計の確立を目的として研究を遂行してきた. 2021年度においては,ネットワーク運用技術として,エッジコンピューティング技術,ネットワークスライシング技術,ネットワーク内キャッシュ技術等に着目して,それらの最適設計を行った.具体的には,エッジコンピューティング環境においては,ジョブスケジューリングの提案,データキャッシュ手法の提案等を行った.また,ネットワークスライシング技術については,障害発生時の通信を保証するためのスライス設計手法の提案を行った.ネットワーク内キャッシュ技術については,ネットワーク内にキャッシュされたコンテンツを効率的にダウンロードするためのルーティング手法の提案を行った.さらにはネットワーク基盤設計として,ドローンネットワークを想定したスケジューリング手法の提案を行った.これらの研究成果については,国内研究会において発表している.また,その成果の一部を英文論文誌に投稿中であり,国際会議においても発表する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では,課題を①省電力ネットワーク基盤及び仮想ネットワークモデル化,②負荷分散制御設計,③高信頼ネットワーク設計,④統合ネットワークシステム設計,の4つの小課題に分け,これらを段階的に解決し,最終的に統合することで研究目的の達成を目指している. 2021年度においてはこれらのうち,①省電力ネットワーク基盤及び仮想ネットワークモデル化,②負荷分散制御設計の実施を予定していた.①については,無線ネットワーク基盤のモデル化およびネットワークスライス設計を行っている.また,②については,エッジコンピューティングにおけるスケジューリング設計やネットワーク内キャッシュ技術のためのルーティング設計を行っている.これらの成果の一部は,国内研究会において発表している.また現在,英文論文誌に投稿中であり,国際会議における発表も予定している.そのため,おおむね順調に進展しているものといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は①省電力ネットワーク基盤及び仮想ネットワークモデル化,②負荷分散制御設計で得られた知見をもとに新たな課題についても取り組み,さらなる新しい技術の創出を目指す.また,③高信頼ネットワーク設計,④統合ネットワークシステム設計についても以下のように取り組む予定である. ③では,障害回避や高速復旧等の技術に着目し,高信頼なネットワークの構築を行う.サービスを途切れることなく提供するためには,障害に対する備えが求められるが,将来のネットワークの高速化やサービスの多様化に伴い,障害対策は従来よりも重要な課題となる.障害対策としては,障害が発生してもネットワークの接続状態が維持されるような基盤の形成や仮想資源の配置等を行う障害回避技術が存在する.さらには,故障が発生した後に,高速で別経路にトラフィックを迂回させる高速障害復旧も重要な技術である.ここでは,グラフ理論や最適化理論の応用によって,①②で検討するモデルや技術の特性に応じた,新たな障害対策技術の検討を行う. ④では,①②③で得られた結果・知見をもとに,ネットワークサービス,ネットワーク運用技術,融合ネットワーク基盤の相互の影響を明らかにし,これらを効果的に統合する手法を,数値実験およびP4による実装により検討することで研究目的の達成を狙う.
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症の影響等による問題で,当初予定していた研究成果発表を2021年度に行わなかったため,その分次年度使用額が生じた.その分は2022年度において研究成果発表のための費用として使用する予定である. 2022年度の使用計画としては,実験を迅速に進めるために,実験用コンピュータを購入予定である.また,それに関連してコンピュータ関連品も購入予定である.さらに資料収集および成果発表のための国内旅費,国外旅費にも使用する予定である.人件費として,大学院生を研究補助員として雇用する予定である.また,その他の費用としては,論文印刷費に使用する予定である
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