研究課題/領域番号 |
21K11862
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
酒井 正夫 東北大学, データ駆動科学・AI教育研究センター, 准教授 (30344740)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | P2P / プライバシ保護 / データ活用 / 新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOA / 人流量 |
研究実績の概要 |
本研究の主目的は,P2Pノード群をスマートコントラクト連携させて,各P2Pノード群が保持するデータを相互に安心・安全に活用可能にするための技術の開発である.研究初年度である2021年度は,その実験環境の構築に取り組み,P2Pノードとして動作するIoTデバイス装置とそれらを連携・管理するサーバシステムを試作した.また,実環境での実証実験を行い,試作した装置・システムの有効性や課題の検証も行った. 具体的には,P2Pノード群にはLinuxが動作するシングルボードコンピュータ(Raspberry Pi zero)を採用し,各P2Pノードが周囲のBLE(Bluetooth Low Energy)信号やCO2濃度のデータを観測し,さらに,それらのデータをエッジコンピューティングにより解析して,周囲の人流量を予測するIoTデバイス装置を作成した.また,各P2Pノード群が予測・保持する人流量データを管理サーバ経由で相互に連携・活用させるソフトウェア群も開発した.さらに,地元の飲食店や商店街など不特定多数の人々が行き来する実際の環境で,開発したIoTデバイス装置や管理サーバの実証実験を行い,その有効性を検証した.その結果,スマートフォンアプリ「新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOA」が発信する接触検知用の信号の観測・活用することが,人流量の高精度推計とプライバシ保護の両立に有効という知見を得るに至り,そのために必要な新技術を複数開発した.また,実験中に見つかった実用上の多くの課題の解消も行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度の2021年度は,今後の研究継続において重要な実験環境(IoTデバイス装置と管理サーバ)を構築した.また,その実証実験を通して,P2Pノード群のデータ連携・活用のための新技術開発も行った.これは計画通りであり,本研究はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,本年度に独自開発したIoTデバイス装置や管理システムを,より大規模かつ多様な環境で動作検証を行い,その有用性の向上を目指す方針である. 具体的には,地元の行政機関(仙台市)と連携して実証実験のエリアを特定の商店街から仙台市全域に拡大し,また,屋外だけでなく屋内での実験も実施する.さらに,データ連携・活用方法の多様化にも合わせて取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度である2021年度は,次年度使用額として86,545円(当該年度の所要額の9.5%)が生じた.これは,当該年度後半に実施した実証実験のために手当した費用の残額である. 実証実験では,IoTデバイス装置群のデータ通信費やクラウド上に構築したサーバの利用料が継続的かつ変動して発生する.実証実験の実験を円滑かつ確実に実施するために,その費用は余裕を持って手当する必要があった. 2022年度分は,2021年度の経験を踏まえて適切に手当して使用する計画である.
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