研究課題/領域番号 |
21K11871
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
勝間 亮 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80611409)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 評価関数 / 害獣モニタリング / 複数カメラ |
研究実績の概要 |
本年度では,害獣モニタリングを目的としたカメラ配置の自律スケジューリングを行うためには,新たにカメラ配置の良さを評価するための関数が必要であるという課題を発見し,その関数の作成を検討した.その詳細を次で説明する. 広範囲のセンシングを目的としたセンサの配置を評価するための従来の指標としてはk重被覆が用いられていたが,カメラを用いてユーザに動物の映像を送る形式の害獣モニタリングにおいては,k重被覆ではカメラの位置を正しく評価できないという,今までに認知されていなかった問題を発見した.すなわち,k重被覆では十分良い評価とされたカメラ配置であるにも関わらず,ユーザがそのカメラ画像を確認したところ,非常に低く評価されるケースがいくつか存在することが明らかとなった.そこで,複数のカメラで同時に撮影された動物の画像について,ユーザが得られる情報が多いほど良いカメラ配置であると評価する新たな関数の作成が必要であると考え,この関数の作成を本年度の主たるテーマに設定した. k重被覆とユーザ評価の乖離の要因を分析したところ,k重被覆ではカメラの指向性や動物の向きが考慮されていないことによる影響が大きいのではないかとの予測が立った.そこで,二台のカメラで一体の動物を撮影することを想定し,異なる距離,角度から動物を撮影した画像のペアを何通りも作成し,その画像ペアからどれだけ個体の特徴を捉えられるか点数をつけてもらうアンケートを約50人に実施し,その結果をもとに近似関数を求めることで評価関数を作成した.これにより,二台のカメラの位置と動物の向きを入力するとユーザの評価に近い評価値を返す関数を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の設計当初では,害獣モニタリングにおけるカメラ移動の自律スケジューリングを実現するためのカメラの位置の評価は従来のk重被覆で十分であると考えていた.しかし,k重被覆をそのまま適用すると不都合が起きることが判明し,新たなカメラ位置の評価関数が必要であることが分かった.これは今までに全く認知されていなかった課題を研究を遂行していくうえで発見したということであり,成果のひとつではあるが,研究計画上では課題が増えたため,当初に予定していたことを後回しにせざるを得なくなった.以上より,当初の研究計画からは遅れていると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に作成した二台のカメラ位置の評価関数について有用性の立証がまだ不十分なため,有用性の評価を行う.また,二台以上のカメラ位置の評価ができるように改良する.これらを達成することで,カメラ移動の自律スケジューリングの研究が開始できるようになる.よって,評価関数の完成以降は,研究計画通りカメラ移動のための自律分散アルゴリズムの開発に取り掛かる.
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