研究課題/領域番号 |
21K11871
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
勝間 亮 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 講師 (80611409)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | カメラ配置手法 / ロープ配置手法 / 害獣監視 / 撮影画像の高品質化 |
研究実績の概要 |
2022年度の研究成果では2台のカメラ位置と害獣の位置と向きから,撮影画像の品質を評価できる関数を作成できた.この関数を用いることで,既存のロープ配置手法で設置されたロープからの撮影の品質を見積もった結果,必ずしも良い品質を得られるわけではないことが分かった.そこで,カメラの自律分散移動制御を行う前に,撮影画像の品質を考慮した適切なロープ配置を行う問題を解決しなければいけないという新たな課題が出現した.これを解決するためのロープ配置手法を考案するにあたり,既存のロープ配置手法に比べて撮影画像の品質予測の要素が加わることで,ロープ配置の評価を繰り返し行う反復構造のアルゴリズムでは計算時間が膨大になることも分かった.2023年度はこれらの課題の解決の足掛かりとして,監視すべき地点を2点に限定した部分問題の解決を図ることとした. 上記の部分問題に対して,2023年度はロープ設置手法を2種類提案した.1つはヒューリスティックに基づいた方式であり,監視すべき地点の位置関係でロープ本数を決定し,監視すべき地点の周囲にカメラを配置する際に評価が高くなるような領域に対して重点的にロープ配置したときの撮影画像の品質評価を行うものである.もう1つは進化計算に基づいた方式で,カメラの台数と撮影画像の高品質化を同時に狙うために多目的最適化手法のNSGA-IIを利用するものである.これらを比較することにより,監視すべき地点を増やした場合のロープ配置アルゴリズムに必要な要素を検討した. シミュレーションの結果,進化計算手法の性能が若干良かったものの両手法に明確な差異はないことが分かった.これより,監視すべき地点が増えた場合にヒューリスティックで行っているロープ本数の決定の際の条件分岐の煩雑さが増大することから,進化計算手法を主体にするのが適切であろうことが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画立案時にはカメラの自律移動制御を行う予定であったが,カメラと監視すべき地点の位置関係から撮影画像の品質評価が可能となったために,ロープの配置自体を見直すことができ,既存のロープ配置手法では満足な撮影画像の品質を保証できるロープ配置にならない可能性があることが分かった.ロープの配置はカメラの可動範囲を決定づけるものであり,これを無視することはできず,ロープの配置手法の改良が必要となり,それに着手することとなった.よって,当初の予定であったカメラの自律移動制御の段階に入ることができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
現状では,撮影画像の高品質化を考慮したロープの配置問題に対して,監視点が2点の場合に限定された部分問題に対する有効なアルゴリズムを開発することができた.次の段階としては,監視点が増えた場合にも対応でいるようなアルゴリズムの改良が必要である.2024年度はそのアルゴリズムの改良に注力し,解決の目途がついた段階で,カメラの自律移動制御アルゴリズムの開発に着手する予定である.
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