研究課題/領域番号 |
21K11873
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
菅原 真司 千葉工業大学, 工学部, 教授 (90313410)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 動的Fog / Cloud-Fog-Edge三層構造 / Peer-to-Peerネットワーク / コンテンツ共有 / 移動体端末 |
研究実績の概要 |
本研究では,P2Pネットワークを構成する複数の端末により動的Fog (Dynamic Fog) を形成し,これを複数のCloudシステムに組み合わせることで,Cloud-Fog-Edge階層構造を仮想的に構成する手法について検討し,これを用いた効率的なコンテンツ共有システムを開発する.このシステムでは,Fogサーバの運用コストの削減とそのリソース配置の最適化が期待できる. 一般にこのようなシステム構成では,従来のように物理的に三層の構造をとるのではなく,Fogの部分はEdgeの一部により動的に構成されるため,システム提供側はCloud上に配置した資源と各ユーザ端末に持たせたアプリケーションのみでシステムを運用することが可能となり,物理的なシステム構成を二層とすることで運用コストを削減できる.また,仮想的(論理的)にはCloud-Fog-Edgeの三層構造のシステムであり,必要に応じて規模を変更できる動的Fogが形成されるため,利用されない時間帯には資源を割く必要はなく,また,時間的に負荷の分布が変化してもそれに合わせて柔軟にFogサーバのリソースを展開できることから,システム提供側,利用側の双方にとって無駄のない構成となる. 令和3年度は,単一の動的Fogを自律的に構成するアルゴリズムを検討した.Cloudとの連携を図り,動的Fogを最初に構成するEdgeの選定から,それを中心とした他のEdgeとの論理的接続形成,動的Fogを構成する端末の離脱に伴う処理,共有コンテンツのEdgeへの配置などの手法を提案し,計算機シミュレーションにより評価している. この研究の成果は,CISIS2022のような国際会議に投稿され,既に採録が決定している状況であり,6月末に発表の予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のように,令和3年度の研究計画で予定していた研究内容である,単一の動的Fogを自律的に構成するアルゴリズムを検討についてはおおむね順調に進められており,Cloudとの連携を図り,動的Fogを最初に構成するEdgeの選定から,それを中心とした他のEdgeとの論理的接続形成,動的Fogを構成する端末の離脱に伴う処理,共有コンテンツのEdgeへの配置などの手法を提案し,計算機シミュレーションによる評価では,提案方式について良好な性能が期待できると結論した. この結果については,本年6月に開催のThe 16th International Conference on Complex, Intelligent, and Software Intensive Systems (CISIS2022)において発表を行う予定である. また,本年4月以降の研究に関しても,後述の令和4年度の研究計画で予定している複数の動的Fogの構成について検討を開始しているところである.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は,研究計画に従って,複数の動的Fogの形成とその階層化および並列化によるスケーラビリティ確保の検討を行う.これにより,ユーザ数の増加によるシステムの大規模化のみならず,逆にユーザ数の減少によるシステムの縮小にも柔軟に対応可能な手法を得る. また,令和3年度にも一部先取りして取り組んであるが,ローカルなFogで要求コンテンツが発見できない場合の,他のFogへの問合せの手順についてもさらに検討を重ね,手法を確立することを目指す. さらに,可能であれば各Fogの地域性を生かした制御や,単一の端末が目的の異なる複数のFogに参加できる機能を加えることも検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度に出席を予定していた研究会に,コロナ禍により遠隔開催となったものがあり,その分の旅費に余剰が出たため次年度使用額が発生した.これについては,令和4年度の研究発表において,対面で開催されるものに参加する回数を1回増やし,他の参加者と直接の議論ができることをメリットとして有効に使用したいと考えている.
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