研究課題/領域番号 |
21K11875
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
上田 清志 日本大学, 工学部, 教授 (00738429)
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研究分担者 |
三好 匠 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (40318861)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 経路ロック方式 / 多階層ネットワーク構築方式 / ノード自律危険度評価方式 / 複数経路探索法 / 輻輳抑制航行制御分散管理手法 / 中継機能配置ノード選択アルゴリズム |
研究実績の概要 |
各ノードが、相互通信によりノード間距離、近隣ノード密度、経路利用履歴等から住宅密集地内の一般ノード、住宅密集地外の転送ノード、複数段階の危険度を判定する分散アルゴリズムの基本方式を確立した。複数段階の危険度をもとにして、より安全で効率的な航行経路を構築する最適経路制御方式を確立した。 複数の移動機が航行する際、移動機同士が衝突する危険をさけるため、同じリンクを使用しない経路を構築する経路ロック方式と航行高度の多階層ネットワーク構築方式を確立した。具体的には、OLSRをベースに、リンクをロックするRKメッセージを追加し、多階層の仮想リンクを各ノードが管理する。ネットワークシミュレータにて提案プロトコルの有効性を評価確認した。 宅配サービスの要件を満たしつつ複数経路から最適経路の選択が可能となるように、無人移動機の移動時間と安全性を考慮したAODVベースの複数経路構築法を確立した。具体的には、RREQメッセージを移動時間と安全性とで評価し複数保存し、評価前に不必要なRREQメッセージをフィルタリングする方式により実用的な方式を確立した。 高密度に無人移動機が飛び交う環境において、無人移動機の輻輳を抑制し、航行品質を保証するための航行制御分散管理手法を確立した。 無人移動機経路構築する無線マルチホップネットワークの中継機能をすべてのノードにもたせるのではなく、OLSRのMPR集合方法を応用した選定手法を確立した。また、Dockerを用いたユーザPCコンピューティングシステムによる無線マルチホップネットワークシミュレーションの効率的実行方法に着手した。さらに、無線デバイスでリアルタイムにFingerPrintを更新する室内の位置測定方式を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画として、2年目の達成目標である、各ノードが、相互通信によりノード間距離、近隣ノード密度、経路利用履歴等から住宅密集地内の一般ノード、住宅密集地外の転送ノード、複数段階の危険度を判定する分散アルゴリズムの基本方式を確立した。複数段階の危険度をもとにして、より安全で効率的な航行経路を構築する最適経路制御方式を確立した。危険度の段階数や各段階の判定方式は各サービス/各地域によって異なると考えられるため、引き続き、地域別に住宅密集地情報などを学習し判定論理を最適化する方法を考案する。本年度確立した他ノードとの相互作用で自律的に各ノードが自らの危険度を認識する判定論理から、学習方法を確立できると考える。 複数の移動機が航行する際、移動機同士が衝突する危険をさけるため、同じリンクを使用しない経路を構築する経路ロック方式と航行高度の多階層ネットワーク構築方式を確立した。ネットワークシミュレータにて提案プロトコルの有効性を検証している。 宅配サービスの要件を満たしつつ複数経路から最適経路の選択が可能となるように、無人移動機の移動時間と安全性を考慮したAODVベースの複数経路構築法を確立した。 高密度に無人移動機が飛び交う環境において、無人移動機の輻輳を抑制し、航行品質を保証するための航行制御分散管理手法を確立した。 研究計画策定時に想定していた技術課題を超える成果を達成した。無人移動機経路構築する無線マルチホップネットワークの中継機能をすべてのノードにもたせるのではなく、OLSRのMPR集合方法を応用した選定手法を確立した。また、Dockerを用いたユーザPCコンピューティングシステムによる無線マルチホップネットワークシミュレーションの効率的実行方法に着手した。さらに、無線デバイスでリアルタイムにFingerPrintを更新する室内の位置測定方式を確立した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究計画通り、研究課題に取り組んでいく。無人移動機の自律動作で衝突回避経路を探索するアルゴリズムを進化させる。同一ノード/リンク使用回避のみならずリンクの交差を回避する方式を確立する。経路をロックする回線交換モデルのみならず、小型移動機が近接した際にロックするパケット交換モデルでの衝突回避方式を確立する。また、無線接続不安定などにより経路上のノード・リンク故障発生時、小型移動機が到達しているノードから新たに宛先家屋ノードへのルートリクエストを行い、最適経路を再構築する方法を考察する。 各ノードが、相互通信によりノード間距離、近隣ノード密度、経路利用履歴等から、サービス別/地域別に住宅密集地情報などを学習し判定論理を最適化する方法を考案する。これにより、他ノードとの相互作用で自律的に各ノードが自らの危険度を認識する判定論理や学習方法を確立する。 また、高密度に無人移動機が飛び交う環境において、無人移動機の輻輳を抑制し、航行品質を保証するための航行制御分散管理手法を更に進化させていく。 検証用ネットワークとして、スマートメーターにも用いられている無線デバイスと、ノード内のソフトウェア実行に用いる小型PCによるノード装置により、無線マルチホップネットワークを構成する各ノード内のソフトウェアを開発し検証する。 研究計画に加えて、無線マルチホップネットワークの中継機能の配置ノード選定方式、無線デバイスでリアルタイムにFingerPrintを更新する室内の位置測定方式を実装評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、新型コロナウイルス感染防止のため、実施予定であった検証実験費用が変更となった。検証実験体制と実施規模を縮小することになり、購入予定のスマートメーターにも用いられている無線デバイスと、デバイスを制御、信号の中継、ユーザへのサービスアプリケーションの実行、に用いる小型PCによるノード装置台数を減らしたため、未使用額が生じた。 逆に、昨年度実施できなかった研究を円滑かつ確実に推進するための研究分担者との対面でのディスカッションや学会発表が可能となったので、芝浦工大や日大工学部への移動旅費が増加したころ、研究成果を広く社会・国民に公開するための、国内のネットワークシステム研究会等の研究会および海外の国際会議の対面発表を増やすことができるようになり、旅費が増加したこと、また、予定以上の研究成果をあげることができたため、電子情報通信学会等の国内学会、IEEE等へ納める研究報告投稿料、論文印刷費、が増加したため,物品未購入による未使用額が少なくなった。 次年度は、本格的なナビゲーションの検証を行う。次年度使用額と令和5年度助成額を合わせて2年目に未購入の、ノード装置を3セット購入する。さらに、計画通り、ドローンを1台購入することにより、ドローン1台でのナビゲーション制御が行われることを検証できる。ノード装置を3セット追加購入し、検証ネットワーク規模を拡充する。
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