研究課題/領域番号 |
21K11881
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水木 敬明 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 准教授 (90323089)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | カードベース暗号 |
研究実績の概要 |
カードベース暗号の研究分野の継続的な発展のため,当該年度は,交付申請書に記載した研究の目的と実施計画に従い研究を進め,次に列挙する成果を得た。 まず,カードベース暗号のメインストリームな研究テーマであるAND(論理積)の秘密計算について,最小枚数を用いた3入力ANDプロトコルの開発に取り組み,2回のシャッフルしか要さない効率的な新しいプロトコルを考案し,国際会議COCOON 2021においてその成果を公表した。また,3入力多数決関数の秘密計算の改良に取り組み,6枚という最小枚数とシャッフル2回で実現できる極めてシンプルなプロトコルを発見し,その成果を国際会議Indocrypt 2021において公表した。また,物理的なカード組を用いたゼロ知識証明の枠組みを確立するため,その定式化に取り組み,グラフ同型問題やグラフ3彩色問題に対するゼロ知識証明プロトコルをそのフレームワーク内で構築し,これらの成果を国際会議ProvSec 2021において公表した。また,パズルに対するゼロ知識証明プロトコルの構築として,SlitherlinkとMasyuに対するものを論文誌Theoretical Computer Scienceに掲載し,NurikabeとHitoriに対するものを国際会議CiE 2021にて公表し,Cryptarithmetic(覆面算)に対するものを国際会議UCNC 2021にて公表した。また,これまで培ってきたカードベース暗号の知見やテクニックを活用し,新しい物理的な道具としてボールと袋の利用を考え,それらを用いた効率的な秘密計算プロトコルを考案し,その成果を国際会議IEEE Computer Security Foundations Symposium (CSF 2021)において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記した通り,初年度ながら合計7本の論文を学術論文誌や査読付き国際会議で公表することができた(すべてScopus収録)。具体的な数字としては,ElsevierのTheoretical Computer Scienceに1本,SpringerのLecture Notes in Computer Science (LNCS) に5本,IEEE Conference Proceedingsに1本を掲載している。以上により,本研究課題は順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を踏まえつつ,当初の計画に従い,本研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。令和4年度請求額とあわせ,次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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