研究課題/領域番号 |
21K11900
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 伸崇 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (60305779)
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研究分担者 |
權 娟大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業情報研究センター, 研究員 (80597097)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | グラフデータ / スキーマ / 充足可能性問題 |
研究実績の概要 |
近年,RDF/グラフデータに対する記述力の高いスキーマ言語が策定され,その利用が進みつつある.本研究では,RDF/グラフデータを対象に,この分野において基本的かつ重要な問題であるスキーマ下での問合せ式充足可能性問題について考察している.ここで,スキーマSと問合せ式qに対して,もしSに妥当なグラフデータでqの検索結果が空でないものが存在するならば,qはSの下で充足可能であるといい,そうでなければ充足不能であるという.本研究では,スキーマ言語として表現力の高いShape Expression (ShEx)を採用した.2021年度においては,問合せ言語としてConjunctive Property Path (CPP)を対象とし,CPPの問合せ式充足可能性問題について考察を行なった.ここで,CPPとは Property Path(RDFの問合せ言語SPARQLのサブセット)を論理積で結合した問合せ式である.考察の結果,まず,CPPの問合せ式充足可能性問題は計算困難であることを示した.更に,ShExに一定の制限を課した場合,この問題が効率よく解けることを示した.この制限とは,ShExスキーマにおいて,論理和を含む部分式には閉包で必ず囲まれていること,および,各内容モデルにおいて同名のラベルが異なる型と組み合わさることがない,というものである.さらに,これらの考察に基づいて,ShExが上記の条件を満たすという仮定の下で,CPPの問合せ式充足可能性問題を解くためのアルゴリズムを構成した.このアルゴリズムでは,問合せ式の各変数がとり得る型を計算し,その結果により充足可能性を判定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の2021年度における当初の目標は,RDF/グラフデータにおける問合せ式充足可能性問題の計算複雑さを求め,その問題が計算困難な場合はその問題が効率よく解けるための条件を求めた上で,この問題を解くための効率の良いアルゴリズムを構成することであった.2021年度は,CPPというSPARQLのサブセットに対してこれらの考察を行い,この問題を解くためにアルゴリズムを構成している.そのため,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,提案アルゴリズムに対する機能拡充についての考察を行いつつ,更なる評価実験の準備を進めていく予定である.前者については,充足可能性問題を包含する問題である問合せ式の包含判定問題についても考察していきたいと考えている.後者については,予備的な実験は行っているものの,アルゴリズムの実装,評価実験用のデータの選定・収集と整理を進め,より広範囲なデータを対象とした評価実験が実施できるようにする.
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