本研究では,人の身体活動からメッツを日常的に推定することができるモデルを構築するために,ウェアラブルデバイスを用いて人の身体活動の加速度,心拍,活動量のデータを収集し,予備実験での結果を活用し,回帰モデルとしてランダムフォレストを用いてメッツ値の推定モデルの構築を試みた.結果,複数の動作を含むモデルの構築は,より高い決定係数をもたらす一方で平均絶対誤差と平均二乗誤差に関しても高い値をとることが示された.より精度の高い推定モデルを構築するには,様々な異なる動作パターンに基づくデータの取得・分析を行うことが必要となるが,今回検討していない特徴量の選別,外れ値の処理,特徴量を抽出する時間幅の検討などが挙げられる. 次に,満足度とは財・サービスに対する元の期待値と実際の財・サービスとの差を満足度として定義し,簡便かつ頑強な満足度の計測を目的として,脳血流を用いた映画の予告映像視聴時の満足度推定を行った.結果,推定精度が73.3%となり,期待不一致モデルで形成される満足度が脳血流に反映される可能性を示した.また,予告映像の約5秒から10秒までに被験者に与えるファーストインプレッションが満足度の形成に重要である可能性も示唆された. さらに,加速度センサから得られる加速度・角速度データから,清掃作業動作の把握ができるモデルを構築し,推定精度の評価を行った.清掃作業には腕を前後しながら行う動作もある事より,加速度データのゼロ交差点特徴量を追加することで,より高い精度で分類できることが分かった.また,特徴量を算出するための時間幅を10秒間,5秒間,2秒間として分類精度を比較した結果,5秒間あれば動作の動き出しが含まれている場合でも7割の分類精度を維持できることが分かった.今後の課題として,被験者が成人男性20名と属性が偏ってしまっていることや,モデルのさらなる分類精度向上などが挙げられる.
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