研究課題/領域番号 |
21K11914
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
伊東 拓 日本大学, 生産工学部, 准教授 (80433853)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ボリュームデータ / アイソパラメトリック要素 / 2次要素 / スカラー場 / 物体再構成 / 発泡金属 / 陰関数 / RBF |
研究実績の概要 |
今年度は,ボリュームデータが与えられたとき,アイソパラメトリック要素によって直接スカラー場g(x)を生成する際, 2次要素を導入することを検討した.具体的には,27点の2次要素を適用し,その他は前年度に線形要素を用いたときと同様の条件でg(x)を生成した. 実験例として,幾つかの物体の点群データから得られたボリュームデータを対象に,2次要素で生成されたスカラー場g(x)において,g(x) = 0として抽出した物体表面を線形要素の結果と比較したところ,一方向あたりのボリュームデータ数が200から300程度になると視覚的にはほとんど違いがないものの,ボリュームデータ数が比較的少ない場合に,2次要素が線形要素と比較して細部まで表現できる例を確認した.なお,メモリ使用量については,2次要素の場合でも線形要素と同様であり,従来法(2次のB-Splineから得られた区分的多項式を用いる方法)と比較して1/27となる.計算時間に関しては2次要素を用いることで線形要素と比較して約1.3倍となるものの,従来法と比較して最大で約56倍高速であった. 加えて,発泡金属モデリングの際に,内部的にボリュームデータを獲得してスカラー場を構成する場合があり,アイソパラメトリック要素を用いた方法に置き換えることも考えられるため,同モデリングについても検討した.従来,我々は球関数ベースのモデリング法を提案していたが,球の代わりに切頂八面体を用いる方法を提案した.同方法では,切頂八面体の各頂点を適切な範囲内で移動させ,これらの頂点を用いてRBFによる陰関数を生成することで,球関数の代替関数としている.数値実験により,従来法よりも発泡金属のセル形状に多様性を持たせつつ,従来法の持っている性質も継承していることを確認した. 得られた研究成果は,研究会やオンライン開催した国際会議で発表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は,ボリュームデータから直接スカラー場を生成する際に2次のアイソパラメトリック要素を適用すると共に,発泡金属モデリングについても検討し,ある程度は進めることができたものの,Covid-19の影響や学内業務に予想以上に時間を割く必要があった関係で,論文投稿をするところまで進めることはできなかった.また,令和4年度終盤には対面の研究会に参加でき,このときは参加者と議論することができたものの,その他はオンラインでの参加となり,議論する機会を十分に設けることができなかったと考えている. 以上より,やや遅れていると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
令和3・4年度に,それぞれ,線形及び2次のアイソパラメトリック要素を適用し,ボリュームデータから直接スカラー場を生成する方法について検討してきた.これらを適用する際,ボリュームデータが直交座標系で綺麗な格子状に並んでいる場合,全体座標からアイソパラメトリック要素のローカル座標への変換が比較的簡単にできるが,格子が歪んでいる場合等においては,単純には変換できない.そのため,今後,ボリュームデータの格子が歪んでいる場合であっても,全体座標をローカル座標に変換する方法について検討するつもりである. 加えて,令和4年度に取り組んだ発泡金属モデリングについても,内部的にボリュームデータからスカラー場を構成する場合があるため,その部分をアイソパラメトリック要素に置き換えることも視野に入れつつ,引き続き検討することを考えている.
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 令和4年度もCovid-19の影響でオンライン開催の学会年会や国際会議が多く,予定していた出張の全てが取りやめとなり,登録料以外の費用が発生しなかったため.また,論文執筆のための時間が十分に取れず,投稿できなかったことから,論文別刷代等の経費も発生しなかったため.
(使用計画) 令和5年度は,対面で開催される国際会議・学会年会・研究会等が令和4年度までと比較して増えると予想されるため,参加する際の旅費と登録料として使用することを考えている.また,高性能数値計算サーバーの購入も検討している.さらに,論文投稿も計画しており,英文校正や論文別刷代等の経費としても使用予定である.
|