研究課題/領域番号 |
21K11918
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研究機関 | 富士通株式会社(富士通研究所) |
研究代表者 |
山口 裕矢 富士通株式会社(富士通研究所), その他部局等, 研究員 (20823579)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地盤材料 / 地すべり / 多孔質体理論 / 粒子法 / 弾塑性構成則 |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度開発・検証を実施した異なる時間積分に基づくシミュレーション手法を用いた地すべり解析における材料パラメータの影響について検証を行った。数値標高データに基づく地形モデルを用いた3次元解析において、土の強度や間隙水の浸透特性に関するパラメータの数値についてケーススタディを実施し、異なる地すべりモード及び土砂流動距離が得られることが確認された。併せて、特に地すべり挙動への影響が大きいパラメータが確認され、解析設定における重要性が示唆された。また、提案手法の精度・計算効率の向上を目的として、飽和土を対象とした陰的時間積分に基づく土骨格-間隙流体混合解析手法のモデル及び計算スキームを改良した手法を構築した。より多様な地盤材料や幅広い時間スケールの問題へ対応するために、従来研究の多くで採用されている簡略的定式化を適用せず、完全定式化を採用した粒子法を開発した。また、複雑な地表面形状や構造との連成を視野に入れ、拡張B-splineと併せて境界条件の陰的付与手法を実装した。同時に、安定化有限要素法を応用した手法の導入によって、完全定式化における数値的不安定性を少ない計算コストで抑制することを可能とした。検証の結果、地盤構造が大きく変化し、液状化するような状況において、開発した手法によれば従来の簡易的定式化と比較してより幅広い挙動を表現可能であることが確認された。また、メッシュ法との比較により、メッシュ法では表現不可能な大変形問題に対して、提案手法は高い精度を維持しながら適用可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ感染症の影響によって学会や研究会への参加が延期されていたため、研究発表が予定より遅れているが、提案手法の有効性に関する検証や、改良手法の構築は進行しており、基礎となる技術開発については問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
改良を進めている陰的時間積分に基づく飽和土の計算手法について、流動化した土砂による構造物への影響を評価するために、メッシュ法の構造流体連成解析手法を応用し、土砂と構造の連成解析スキームを導入する計画である。同時に、流動化した土砂の複雑な境界条件を表現するために、粒子配置の動的更新や連成における境界粒子間の接触判定手法を検討する。構築した手法の表現性能を検証するために、有効応力の消失による地中構造物の浮上や、流動土砂の影響による構造物の損傷や倒壊を伴う地盤災害を例題として扱うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の影響によってオンライン開催となっていた学会や研究会の影響で当初予定していた旅費が一部不要となったため、次年度使用額が生じた.次年度は主にオンサイト開催の学会や研究会へ出席するための旅費として助成金を使用する予定である。
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