研究課題/領域番号 |
21K11919
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
上原 拓也 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (50311741)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フォーム構造 / 数理モデル / 形状安定化 / 計算機シミュレーション / フェーズフィールドモデル |
研究実績の概要 |
本研究では,フォーム(foam:泡)のセル構造とその時間変化を数理モデル化し,時間とともに構造が変化する様子を計算機シミュレーションで再現することを目的としている.研究計画では,まずはフォーム構造の全体を構成する個々のセル形状を数理的にモデル化し,安定な形状を求めた後,全体のフォーム構造を多数のセルの集合体としてモデル化し,さらに,その時系列変化を定式化することによって,フォーム構造の形成から安定化(または消滅)に至る過程を数理的に表現することとしている.研究初年度においては,多面体形状をもつセルのモデル化とエネルギー評価について再考し,単一セルモデルとして,表面エネルギー式の改良を行い,フェーズフィールドモデルに適用可能な自由エネルギーの定式化を行った.また,フォーム構造の計算機シミュレーションにおいて重要となるポストプロセッシングについても改良を行い,時間的に変化するセル形状を表示できる自作のプログラムの改良を行った.研究二年目となる当該年度においては,本研究と並行して行ったき裂によるひび割れパターン形成のシミュレーションプログラムの開発と協調し,空間をセル状に分割する際に生じる界面現象や,シミュレーション中に必要となるセル認識アルゴリズムの改良を行った.また,フォーム構造におけるセル壁は柔軟な変形を伴うため,柔軟な物体の変形解析プログラムの作成にもあたった.これにより,前述の自由エネルギーを最小化するように生じるフォーム構造変化の動的プログラムの構築の準備を整えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では,実際のフォーム構造の観察とその形状の数値データ化を行い,それに基づいて単一セルおよび多面体セル形状のモデル化を進める予定であったが,平行して進めていたナノ粒子モデルやパターン形成解析との共通部分を効率的に活用するため,研究順序を変更した.そのため,実験的セルパターンの再現という面で,やや遅れている.また,OVID19の影響が長引き,学会の中止が相次いだため,モデル化の研究調査が思うように進まず,この点においても進捗がやや遅れている状況となっている.
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響で研究の進捗がやや遅れた分を取り戻すべく,モデリング過程の観察を簡略化し,一般的な形態を対象としたモデリングを実施する.多面体形状をベースとしたセルモデルと,空間分割のパターン形成解析モデルの融合をはかることで,フォーム構造モデルと構造変化のシミュレーションプログラムを効率的に完成させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で,国際会議の参加を見送ったため,旅費の使用額が減少した.また,当初計画では,実験観察を基にしたモデリングを行い,それに基づいた解析を行う予定であったため,高性能な計算機を計上していたが,従来の解析モデルをベースとした開発を先行して進めたため,高性能な計算機の購入も先送りした.次年度においては,これらをまとめて行うため,計算性能のより高い計算機を購入し,研究を進めることとする.
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