研究課題/領域番号 |
21K11920
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
牛島 省 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (70324655)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 流体固体連成 / 固体間連成 / 礫層内部流動化 / 固液相変化 / 密度流 / 間隙流 / 粘弾性流体 / 並列計算 |
研究実績の概要 |
・飽和した礫層の底面から流入する鉛直上昇流 により,礫層に内部流動化が生じ,水流が礫層を貫通して破 壊に至る過程に着目して,実験および数値計算による 考察を加えた.粒径や粒子形状が内部流動化に与える影響を確認するために,粒径の異なる 2 種類の礫粒子と球形のガラスビーズを用いた実験を行い,高速度カメラによる粒子画像の撮影と超小型間隙水圧計による流体圧力の計測を行っ た.また,粒子スケールの流体・固体連成を考慮できる3次元計算法を利用して,最大約 42,000 個の礫モデルを用いた 大規模並列計算を行った. ・実験で計測された礫粒子群の挙動は,数値計算で良好に再現されることが確認された.特に,実験では計測が難しい,個々の礫粒子間に作用する接触力の変化や,粒子間隙の水圧の時間的・空間的な変化が数値計算で得られることが示され,鉛直上昇流と礫粒子群の連成挙動のメカニズム解明に役立てることが可能であるという知見が得られた. ・水の凍結および氷の融解現象を対象として, 直交格子上で水の対流,氷内の熱伝導,水・氷間の相変化を 統一的に扱える数値計算手法について検討を行った.特に,各計算セル で氷相の体積変化を計算する手法について,既往の手法に改良を加え,計算セル内で水と氷の界面位置を考慮可能な手法を提案した.解法の基本的な性質を確認するために,矩形領域内における自然対流を伴う 1) 凍結問題および 2) 融解問題をそれぞれ計算し,既往の実験結果との比較を通じて提案手法の適用性について考察を行った. ・粘弾性流体とニュートン流体で構成される流れ場に対する数値解法を検討し,ダイスウェル現象や,粘弾性流の鉛直落下による容器内への充填の計算を行い,妥当な結果が得られることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模な数値計算を順調に実施できており,検証用の実験データもおおむね計画通り取得できている.また,固液相変化や粘弾性流体を扱う2次元数値解法の基本的な部分の開発と検証を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
・礫層内部流動化の問題に対して,より小粒径の礫粒子を利用する場合の大規模数値計算と実験を実施し,礫形状による現象の相違や,数値計算による内部流動化過程のメカニズム解明を進める. ・固液相変化問題に対して,3次元問題を扱えるより汎用的なモデルを提案する. ・変形や体積変化を伴う固体粒子群と流体との相互作用を対象とする3次元数値解法の開発を進める.
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