研究実績の概要 |
顔面浮腫は,通常時の顔の状態と比較すると,頬周辺が赤みを帯びて,頬形状の下方向への膨張が視認される症状である.この疾患における発症要因は様々であるが,形成外科分野においては顎矯正手術後,切離・剥離から派生する傷などが要因として高い頻度で確認される.現状,顔面浮腫の診断は,臨床医の直接視診・触診によって行われ,経過観察に基づいて投薬治療を行うことが主であった.このため,医師ごとの診断が異なる可能性が高く,計算機による客観評価が可能な診断支援システムの確立が求められる. 上記の課題解決について,本研究では,①3次元顔形状情報観測とデータベースの構築,②正常と疾患奨励間における形状違いの観測と可視化,③①,②の成果にもとづく,顔面浮腫の計算機診断支援を目指す.今年度における本研究では,研究初年度(2021年度)に引き続き,①の課題についての研究に焦点を置いた. ①について,本研究で国内外の研究調査を行ったところ,顔面形状変化に関連した研究は,顔部位においても目元,口,鼻などの顕著な局所部位を想定したランドマークを用いた解析が主である.しかし,本研究で対象とする解析は,頬部位を導入した解析となるため,頬部位情報をより詳細に解析したデータベースは存在していない.それゆえ,本研究ではこの頬部位情報を考慮した3次元顔形状のデータ取得ならびにデータ解析を行った. 今年度は,疾患症例のデータベース化を行い,実際の形状と本研究による顔形状取得と比較を行う.
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