本研究の主な目的は、水中ドローンによる海底画像からアワビやウニなどの魚介類や、沿岸環境や生態の維持に大きく貢献しているアカモクやコンブなどの海藻を自動認識するシステムを開発することと、認識結果と調査漁場の位置情報やその他の環境情報などを統合的に管理し、磯根資源のモニタリングに必要なデータ収集・分析機能を備えたシステムを開発することである。今年度は,予定通りにプロトタイプシステムの各機能に対して改善を行うことと同時に、各機能を統合した。海藻認識に関しては、前年度作成したデータセットに対してピクセルレベルアノテーションを行い、セグメンテーションに特化したSAMモデルをベースに、テキストプロンプトから高精度な海藻認識とセグメンテーションを行う手法を提案した。この手法は、前年度の認識モデルと組み合わせて利用することも可能である。しかし、この手法にはハイエンドの処理装置が必要となるため、一般の端末でも海藻認識できるように、インスタンスセグメンテーションという画像内の個々の物体をピクセルレベルで識別し、物体の検出と画像内の領域を特定する技術を用いた海藻認識手法も提案した。予定していた撮影画像から魚介類と海藻類を同時に認識できるモデルの構築までは至らなかったが、開発したシステムに認識モデルの切り替え機能を追加した。この機能により、それぞれのモデルで認識を行い、魚介類と海藻類を認識し、認識結果をデータ管理システムに登録することができる。
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