研究課題/領域番号 |
21K11939
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
金田 北洋 大阪公立大学, 研究推進機構, 客員教授 (30782700)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 真贋判定 / 二次元コード / 産業用インクジェット印刷機 / エスプリコート / グロスコート / クラウド / 高速検索 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年確立した改良版アルゴリズム(特徴点を安定的に抽出する画像処理アルゴリズムの改良、マッチング手法の最適化、AKAZEの組込み)を活用して、産業利用を想定した検証実験を行うと共に、クラウド版システムの試作を行った。 ① 産業利用を想定した検証実験:産業用印刷メディア(エスプリコート紙、グロスコート紙各サンプル3000セット、共に判定率100%):画像劣化耐性(各サンプル3000セットで、回転100%、拡大縮小90%以上、ノイズ付与15%以下で100%の判定率):モノクロ印刷(サンプル3000セットで判定率100%):電子写真印刷(サンプル3000セットで照合データは100%、偽造データは99.3%の判定率):デジタルオフセット印刷(サンプル3000セットで照合データは96.4%、偽造データは14.5%の判定率) これらの結果より、本方式は産業用途に拡張しても、インクジェット印刷機とのマッチングは問題無い事が分かった。また、電子写真印刷機においてもほぼ100%の正判定率であった事は、特筆すべき事実である。しかしながら、デジタルオフセット印刷機に関しては、現状のままでは実用的な精度が出ない事も分かった。 ② 高速化、クラウド実装:将来のサービス化を想定し、さらに、大量データセットによる評価実験の準備として、クラウドプロトタイプ実装を行った(AWSクラウド上)。ローカルでのオンメモリDBに比べて、検索時の速度低下が見込まれるため、特徴量を離散化してインデックスを生成させる事により高速化を図った。結果として、ローカル環境の判定と比較して2倍程度の速度に抑える事が出来た(1秒前後)。 今後は、クラウドプロトタイプの使い勝手を向上させた実験評価システムを立ち上げて、大規模データセットの評価に着手すると共に、このシステムを開放し、社会実装に向けて多くのご意見を伺いたい考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大量データセットでのアルゴリズム検証の準備段階として、クラウドプロトタイプが完成し、動作も確認出来た事は、大きな成果である。これをベースに、大規模な評価実験や、本サービスのプロモーションが可能となる。また、産業利用に関しては、デジタルオフセット印刷機に関しては、原理的に想定していたが、実際に実験を通してマッチングが良くない点を明らかにした事も重要な成果と考えている。 以上総合的に鑑みて、概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、クラウドプロトタイプの使い勝手を向上させた実験評価システムを立ち上げて、大規模データセットの評価に着手すると共に、このシステムを開放し、より多くの方に触れて頂く事により、社会実装に向けて多くのご意見を伺いたい考えている。 そのための外部リソース活用を検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、コロナ禍による学会の常態的なリモート開催、及び、産業用途でも実用に耐えうる技術の見極めを優先した事による全体システム開発計画の後倒し、である。 次年度は、クラウドプロトタイプの使い勝手を向上させた実験評価システムを立ち上げて、大規模データセットの評価に着手すると共に、このシステムを開放し、より多くの方に触れて頂く事により、社会実装に向けて多くのご意見を伺いたい考えている。 そのための、本年度実装した、クラウドプロトタイプのブラッシュアップ、及び、大規模データセット構築を一括して外部に委託して、プロジェクトを加速させたい。
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