署名照合は国際的には社会的に広く受け入れられている本人確認手法である.機械学習技術を活用した署名照合の自動化には,(1)照合判定根拠に対する説明性 の向上,(2)照合精度の向上,(3)様々な言語の署名を統一的に照合できるユニバーサル性の向上の課題が残されている.本研究は,主に以下の3項目を研究し,有用かつ実用的な自動署名照合の確立を目指した.(1)機械学習を活用した自動署名照合における照合判定根拠を説明できる技術の開発,(2)我々 が開発した組み合わせ分割署名照合や,初めて署名照合に適用したランキング学習等を活用した自動署名 照合の高度化,(3)様々な言語の署名を統一的に照合す る「ユニバーサル署名照合」の実現. 研究計画に基づき,2023年度は,深層学習手法の判断根拠可視化技術であるGradCAMやPSMに加え,注視マップ(Attention Map)を署名照合に導入し,判断根拠可視化が可能であるかを引き続き検証した.また,署名照合の性能向上のために,手書き文字字形の定量評価や,典型文字の持つ特性を引き続き調査した. 注視マップを導入した深層学習モデルにより署名照合を行う手法を実現し,署名照合の精度が向上することを確認した.また注視の状況を画像化し可視化することにより,機械学習モデルの判断根拠の推定がより効果的に可能であることを確認した. 2024年11月に開催された国内シンポジウムにて,本研究の成果を発表した.
|