研究課題/領域番号 |
21K11946
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鎌田 清一郎 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授 (00204602)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スパース・ハイパーグラフネットワーク / スパースグラフ表現 / 視覚的質問応答 / マルコフ確率場 / 行動認識 / 調剤過誤防止 / ヒアリハット |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、グラフ構造そのものを一般化したハイパーグラフニューラルネットワーク(HGNN)を対象として、スパースグラフ表現によるHGNN(SHGNN)を検討している。これは、グラフ表現へ変換する際にハイパーエッジに基づくグラフ分割を行い、サブグラフのスパース構造化そして全体をスパース最適化することで、SHGNNの構築を図ったものである。今年度は、このモデルをさらに改善するため、マルコフ確率場(MRF)を導入したMRFハイパーグラフTransformerを構築した。条件としては、ノードやハイパーエッジ間でマルコフ性を導入し、すべてのハイパーエッジをクリークとして扱い、異なるハイパーエッジ間のノードはガウス分布に従うものとし、最適なハイパーグラフ構造に再構築する方法を検討した。視覚的質問応答応用としてデータセットVQAーv2に対してMRFハイパーグラフTransformerを適用した結果、ハイパーグラフに基づく従来手法を越える適合性能を得ることができた。次に、SHGNNの応用として人物の行動認識を取り上げ、人物スケルトンに対して、スパース・ハイパーグラフの構築を行った。各関節部位をノードに割り当て、スパース表現によりどの連結が重要かを抽出し、人物スケルトンのハイパーグラフをスパース化するものである。公開されている行動認識データセットNTU-RGB+D等を用いた評価実験を行い、従来手法のHyper-GNNやDHGCNなどに比べて高い識別性能を達成した。さらに、これまで緊急の社会問題となっている薬学リスクマネジメントにおける調剤過誤防止に引き続き取り組んでいる。すなわち事故に繋がらないヒアリハットの2009年分から蓄積した約30万件の事例データセットを構築し、ヒアリハット検索を行うための用法用量などの情報抽出を継続して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最新の研究成果は、29th IEEE International Conference on Image Processing (ICIP)(2022.10)、2023 International Conference on Image Processing and Machine Intelligence、あるいはNeurocomputingなどにおいて研究発表を行ってきた。また、2022 4th International Conference on Robotics and Computer Vision (ICRCV 2022)においてはBest Presentation Awardを受賞することができた。したがって今年度も本研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に引き続き、スパース表現に基づくハイパーグラフを考察し、さらにスパース・ハイパーグラフネットワーク(SHGNN)の識別性能の向上を図っていきたい。またヒアリハット削減のために薬剤の用法用量情報の抽出を行っており、調剤過誤の現場での状況を確認しながら精度向上を引き続き行っていきたい。
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